物語の文脈に牙を組み込むと、それは単なる外見以上の意味を持ち始める。私は書き手気質なので、デザインに寓意を込めることが多い。屈託のない子に突如として牙を持たせれば、内に秘めた野性や家系の秘密を示す伏線になる。逆に、牙を持ちながら穏やかに振る舞う人物を描けば、外見と内面のギャップが人物を味わい深くする。
色や装飾で牙の意味を補強するのも有効だ。例えば金箔のように飾られた牙は誇張された権力や
享楽を示すし、欠けた牙は過去の傷や喪失感を象徴できる。参考にしたのは'吸血鬼ハンターD'のような作品で、牙がそのキャラクターの宿命や立場を語る手段として使われているのを見て、自分の作例でも物語性を優先して牙を配置するようになった。こうした仕掛けがあると、見るたびに新しい解釈が生まれて楽しい。