上流って、私のことでしょう?夫・浅野惟人(あさの ゆいと)の面目を立てるため、私は自らを上流社会の女性へと磨き上げた。
五年もの間、昼夜を問わず勉強に励み、話し方さえ練習した。
私の支えで彼は重要なプロジェクトを勝ち取り、一躍業界の新星となった。
私は胸を膨らませ、待ち望んだ幸せな日々がついに訪れたと思った。
しかしある時、偶然耳にした彼の友人への愚痴が、私の希望を打ち砕いた。
「悠香(ゆうか)って今めっちゃ気取ってるよな。純粋な清美(きよみ)と比べたら、比べものにならないくらい違う。
生まれも育ちも悪い醜いアヒルの子が、毎日派手に着飾れば誰かが注目してくれるとでも?
結局は俺の面子を立ててるだけだろ?俺みたいないいやつ以外、誰が彼女を相手にするんだ?」
私がこの家のために尽くした努力は、彼の目には見せかけに映っていたとは。
五年もの夫婦生活。ついに片方だけ先に裏切ったのだ。