声優が語る制作裏話で私がまず注目するのは、
台本と現場でのキャラクター解釈のズレがどう埋められたかという点だ。
演技の指示だけでは説明できない微妙なニュアンスを、声優同士や演出と相談して作り上げる過程に魅力を感じる。撮り直しの理由や、ある場面で感情を抑える/解き放つ判断がどのように行われたかのエピソードは、作品理解を深めてくれる。たとえば『エヴァンゲリオン』での演出のディテール談義を聞くような感覚に似ている。
さらに、リテイクの数や収録の順序がどのように作品に影響したかも見逃せない。感情の流れを後からつくるためにシーンを逆順で録ることがあったり、アドリブが生きて本編に残ったケースがあったりする。その裏側を知ると、同じセリフでも聴き方が変わる。
最後に、声優自身の準備やセルフケアの話も貴重だ。役に入るためのウォームアップや呼吸法、長時間収録の乗り切り方など、舞台裏のリアルさを感じられると作品が一層愛おしくなる。