「下らない」と感じる小説でも、読み方次第で意外な楽しみを見つけられることがある。例えば、登場人物の行動パターンを分析してみると、作者の意図しない滑稽さや人間観察の深さが浮かび上がってくる。料理の下手なキャラクターが必死に卵焼きを作るシーンなんて、実は社会人の奮闘を
暗喩していたりするかもしれない。
もう一つの方法は、文体そのものを楽しむことだ。陳腐な台詞回しも、あえて「この時代の流行語だったのか」と歴史的資料として読む視点で切り替える。『ドラゴンクエスト』の古いNPC会話が今見るとレトロで可愛いのと同じ原理だ。ストーリーに没頭できない時は、ページの隅々までイラストや装丁を味わうのも手で、装幀家の遊び心が隠れている場合もある。
最後に、友人と一緒に「駄作バスターズ」として読むのもおすすめ。気になる箇所に付箋を貼りながら、後でツッコミどころを共有すると、
批評眼が養われるだけでなく、笑いのネタ帳ができあがる。青春小説の決まり文句をあえて演劇調に朗読してみると、思わぬ名演技が生まれたりするものだ。