意外と単純な話でもある。僕は
クソゲーをネタにして視聴を増やすことは十分に可能だと考えているが、それはやり方次第で大きく変わる。単発の爆発的な再生数は取りやすい一方で、それをちゃんとコミュニティの成長や長期的なファン化につなげられるかどうかが鍵になる。ここからは実際に配信や動画作りをやってきた経験も踏まえて、成功のポイントと落とし穴を整理してみる。
まず、クソゲー実況でうまくいくパターンは大きく分けて二つある。一つは“笑いの演出を徹底する”タイプ。バグや理不尽な仕様をテンポよく拾って編集で見せ場を作り、視聴者が笑いやコメントで参加できる余地を残す。カット編集やVO、効果音の使い方がうまいと、元のゲームの出来不出来を越えてエンタメ性が生まれる。もう一つは“愛のある批評”タイプで、単に馬鹿にするだけでなくゲームの意図や面白さの種を見つけてリアクションする。例えば『Deadly Premonition』のような「壊れているけど妙に魅力がある」作品は、このアプローチだと熱心な視聴者を掴みやすい。
ただしリスクも無視できない。開発者やファンに対するリスペクトを欠いた態度は炎上や反感を招く。特に小規模なインディー作品をただ叩き潰すようなやり方は避けるべきだし、視聴者層が荒れやすくなるとコメント欄や配信チャットが有害な雰囲気になりやすい。さらに、クソゲーネタはアルゴリズム的に短期的にバイラルになっても、チャンネルのブランディングに一貫性がないと継続的な登録者増につながりにくい。だから、ネタにする頻度や切り口は自分の個性と整合させる必要がある。
実践的なテクニックとしては、視聴者参加型の企画(「次はこのクソゲーを検証してほしい」投票など)を入れる、印象的な断片をショート動画に切り出してSNSで拡散する、失敗やバグを恐れずにリアクションを作る編集を学ぶこと。あと、撮れ高重視でも実況中のコメントでゲームの良い部分を拾う習慣をつけると、単に笑いを取るだけでない共感が生まれる。長期的には、クソゲー企画を通してしか見せない“キャラクター”や語り口を育てれば、たとえネタが切れてもファンは残る。
結局のところ、クソゲーで視聴を増やすのは「可能だが戦略が必要」という話だ。軽いノリだけで飛びつくと副作用が出るけれど、編集力と視点の工夫、そして最低限のリスペクトを持てば、面白くて健全なコミュニティを作れるはずだと思う。