構造を意識すると、物語が折れにくくなる。序盤で提示する“問い”を中盤で変質させ、終盤で別の角度から答える──こうした三段階の転換が
ジュブナイルでは有効だと感じる。私が試した方法は、最初に大事な出来事を三つだけ設定し、それぞれが主人公の選択を迫るように配置することだった。そうすると自然に緊張の高まりが生まれる。
言葉遣いはあえて平易にすること。難しい語彙で説明を重ねるより、短い文で感情の揺れを描いた方が読者の心に残る。私の経験から言うと、会話文を多めにして登場人物の関係性を描くとテンポも出て読みやすくなる。章ごとに小さなミステリーや疑問を残すと、若い読者は次を読みたくなる。
着想の段階で参考にしたのは、情緒とメッセージが融合している作品、たとえば'風の谷のナウシカ'のように世界観そのものがテーマに寄与する例だ。表現を凝りすぎず、でも細部は丁寧に。私はそのバランスを探りながら書くことで、読み手を失わない作品を目指してきた。