目にした英語表記は『When It\'s Time to Depart』だった。訳者がここで取った選択は、原題の「旅立ち」の持つさりげない決意と時間性をそのまま英語に移し替えた感じがする。直訳に近い言い回しだけど、英語圏の読者にも自然に響くように語順と語感を調整してあるのが巧みだと思う。
読んだとき、僕は作品のトーンを思い出して、そのタイトルがどれだけ合っているかを確かめた。『When It\'s Time to Depart』は個人の節目を描く物語にぴたりと来る響きで、単に「出発」を伝えるだけでなく、心の準備や覚悟というニュアンスも添えている。英語圏ではセリフでも見かける定型表現だから、違和感なく受け入れられるはずだ。
比較する観点としては、訳者が類似の表現をどう扱ったかを以前から注目している。たとえば『風立ちぬ』のようなタイトル翻訳で見せた微妙な歩み寄りが、ここでも活きている気がしてならない。最終的には、原作の余白を残しつつ英語での直感的な理解を優先した判断だと感じた。