ちょっと語らせてほしい。
大言壮語が与える影響は単に期待値を上げるだけではなく、観客の感情的な投資を変質させるところにこそ本質があると思う。
宣伝や作者の発言で「あれを超える」「歴史に残る」といった大きな文言が出ると、観客はまず前提を作る。そこから作品を評価する尺度が「期待通りかどうか」にシフトするため、小さな成功は過小評価されやすく、欠点は拡大して見える。そのせいでコミュニティ内では白黒論争が生まれ、理性的な議論が感情論で潰されることが多い。実際に'ゲーム・オブ・スローンズ'の最終章で起きた騒動は、期待形成の危うさを如実に示している。
経験的に言うと、期待をうまく設定した作品はリワードが倍増する。逆に誇張が多すぎると、たとえ中身が充実していても観客からの信頼を失い、次回作の受け取り方に影響する。だからこそ制作者や宣伝側には、野心を示しつつも細部の約束を丁寧に伝える態度が必要だと感じる。僕は結局、誠実なコミュニケーションが最も長持ちする投資だと考えている。