婚約指輪の日、婚約者は幼なじみの元へ婚約した翌日、婚約者の鳴海景臣(なるみ かげおみ)に、指輪を受け取りに一緒に来てほしいと頼まれた。けれど、ブライダルジュエリー専門店が閉まるまで待っても、彼の姿は現れなかった。
帰り道でようやく届いたのは、彼からのメッセージだった。
【志乃がお腹を壊して下痢になった。先に病院へ連れて行く】
慌てて電話をかけると、返ってきたのは春川志乃(はるかわ しの)の声だった。
「景臣さん、さっき私と運動した後疲れて寝ちゃったの。用があるなら明日にしてね」
四年間の恋。
大事な時ほど、彼の幼なじみにはいつも「助けが必要な事情」があって、景臣は迷うことなく彼女のもとへ走っていった。
婚約指輪を受け取るような一大事でさえ、私を置き去りにした。
もう疲れた私は、静かに答えた。
「もういい。私、景臣とはもう別れたから」
……