考えてみると、タイトルだけで作者を断言するのは案外難しいという実感がある。
私が調べた範囲では、同字タイトルの作品が時代やメディアを超えて散らばっていて、どれを指すかで話がまるで変わってくる。例えば、もし問題の'
戯け'が現代小説として刊行されたものなら、出版社の奥付やISBN、巻末のクレジットが最も確実な手がかりになるはずだ。過去の雑誌連載作ならば連載号の編集者コメントや連載開始時の告知も重要な証拠になる。
制作背景について言えば、タイトルが古語や方言を用いる場合、作者は伝統芸能や民俗学への関心を持っていることが多く、取材やフィールドワークが制作過程に深く関わっていることが多い。逆に若い作家のインディーズ作品なら、共同制作や読者の反応で内容が変化した可能性が高い。私の経験からは、一次資料に当たるのが一番手早いけれど、断片的な情報を繋ぎ合わせる楽しさもある。
最終的には、版元情報と初出を確認するのが王道で、そこから作者の他作やインタビュー、制作ノートに辿り着けることが多い。自分でもう少し掘り下げてみるつもりだし、見つけた断片をつなげる作業は楽しいと思っている。