この言葉に出会ったのは、古典文学を読み込んでいた時のことだった。『
押しなべて』という響きにどこか古風な趣を感じ、調べてみると「全般的に」「概して」という意味を持つ副詞だと知った。
使われ方としては「押しなべて評価が高い」「押しなべて良好な結果」といった表現が典型で、特定の事象だけでなく全体の傾向を述べる際に重宝する。例えば『源氏物語』の解説本で「押しなべて平安貴族の生活は……」と書かれているのを見て、時代全体を俯瞰するような視点に気付かされた。
現代ではやや格式ばった印象を与えるため、ビジネス文書や評論で用いられることが多いが、日常会話で使うと逆に新鮮味が生まれる面白さもある。