最近読んだ'文豪ストレイドッグス'のoiran AUで、
太宰と中也の関係性を深堀りした作品に衝撃を受けたんだ。特に『
緋色の縄』という作品は、江戸時代の花街を舞台に、互いを必要としながらも傷つけ合う二人の心理描写が圧巻だった。着物の裾を絡ませながら繰り広げられる権力ゲーム、依存と憎悪の狭間で揺れる感情——これほど複雑な関係性を描写したファンフィクションは珍しい。作者は花街のしきたりを巧妙に取り入れつつ、原作のキャラクター性を崩さない絶妙なバランス感覚を持っている。特に中也が太宰の偽りの微笑みを見抜くシーンの描写は、何度読み返しても胸が締め付けられるようだ。
この作品の素晴らしい点は、単なる歴史的ファンタジーに留まらず、現代の'文豪ストレイドッグス'で描かれたテーマ——例えば孤独やアイデンティティの揺らぎ——を全く異なる設定で再構築していることだ。太宰が遊女たちを操る様子は、原作のマフィアボスとしての側面を想起させ、中也の激情はそのままに、より繊細な表現で描かれている。最後の章で二人が共同で敵対勢力を倒すシーンは、彼らの関係性の新たな可能性を示唆していてたまらない。