周囲ではSNSの空気を気にする声がよく聞こえる。僕の世代だと、発言一つで炎上したり無視されたりするリスクを肌で感じてきた人が多い。表面的には穏便に済ませることが合理的だと考えるようになり、対立を避ける文化が強化されている。直接の原因としては、匿名化されたコミュニケーションの増加と、評価が数字やいいねで可視化されることが挙げられる。
教育や職場の仕組みも影響している。学校で教わる「協調性」や、就職活動での集団適応の重視が、自己主張を控える習慣を育てる。さらに経済的な不安定さが「目立たないほうが安全だ」という判断を後押しする。ここでよく引用されるのは、現代人のつながりの希薄さを描いた作品だが、たとえば映画の作品像が示すように、つながりを求めながらも対立を避ける矛盾が若者の行動を複雑にしている。
結局、
ことなかれ主義は一つの性格的欠陥ではなく、環境と仕組みが作り出した合理的な選択だと感じている。僕自身も場の空気を優先してしまうことがあり、その居心地の良さと息苦しさを日々意識している。