自分はインディー系の映像作品をいくつか観てきたが、たとえば『The Whisperer in Darkness』のような作品群は、陰影や実物模型、シルエットを駆使して「存在感」を伝えている。音響や編集で不協和音を積み上げ、画面には断片的な身体部位や歪んだ輪郭だけを見せて、中核の正体は暗転の向こうに残す。こうした演出は原作の不可視性を尊重する一方で、観客が自分の恐怖を補完する余地を与える。
もう一方では、具体的な形を与えてしまうアプローチがある。巨大な塊や触手、無数の目といった具象化だ。『Call of Cthulhu』のルルブやサプリメントでは、アザトース風のイラストが数パターン載っていて、どれも原文の「盲目の痴愚な神」という語感をどう翻訳するかが作家ごとに異なる。個人的には、完全な描写よりも半分隠された表現のほうが怖くて好きだ。