ライトノベルの魅力って、気取らない表現でストレートに楽しめる所だよね。例えば『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は、
兄妹の微妙な距離感をユーモアたっぷりに描きながら、現代の家族関係を鋭く切り取っている。主人公のモノローグが砕けた口調なのに、いつの間にか深い人間観察に変わっていく流れがたまらない。
同じく『青春ブタ野郎』シリーズも、タイトルとは裏腹に思春期の複雑な心理を丁寧に掘り下げる名作だ。『ブタ』なんて言葉を使いながら、登場人物たちの繊細な感情の揺れをこれほど美しく表現できるなんて、作者の力量に驚かされる。特に主人公とヒロインの会話は、軽妙なやり取りの中に核心をズバリ突くセリフが散りばめられていて、何度読み返しても発見がある。
こういう作品が面白いのは、わざとらしい芝居がかった表現を避け、等身大の言葉で読者の胸に直接飛び込んでくるから。堅苦しい文学と違って、肩の力を抜いて没入できるのがライトノベルの真骨頂だと思う。