無粋な演出が目立つと、作品の世界そのものが薄く見えてしまうことが多い。視聴者としては自然な流れに浸っていたいのに、急に違和感のある演出が差し込まれると集中が切れる。例えば、緊張感のある場面で不用意に効果音や過度なテロップが入ると、そこで築かれてきた感情の積み上げが台無しになることがある。
個人的な経験では、シーンの尺やカット割りが軽率だとキャラクターの動機が曖昧に見える場合が多いと感じる。『新世紀エヴァンゲリオン』のような作品では細部の演出が心理描写と直結しているため、雑な演出は評価を大きく下げる。制作側の意図が伝わらないと、視聴者は解釈を補完する余地を失い、結果として評価が低くなるのだ。
ただし全ての無粋さが決定的な欠点になるわけではない。コメディだとかスタイリッシュさを狙った作品では、意図的な違和感が効果を生むこともある。重要なのは演出の一貫性と文脈で、そこが崩れると評価へのダメージは確実に大きくなると考えている。