細部の詰め方に命を懸けて作業するタイプで、
短剣の造形は“形を作る→感触を作る→見た目を仕上げる”という順序で進めるのがいちばん確実だと考えている。
まず設計段階ではシルエットの忠実さを最優先にする。刃線のカーブや先端の角度、幅の変化を紙に何度も描いて、実寸のテンプレートを作る。ここで僕は'The Witcher'に出てくる短剣の細身で鋭いラインを参考にしたことがあって、写真を見比べながら3方向(正面・側面・上)を揃えると実際の造形がブレにくい。
芯材には軽くて形状保持に優れるPVCや木の棒を使い、外側をEVAフォームや熱で成形できるWorblaで覆う。接合はピン打ちとエポキシでしっかり固定し、段差をパテで馴らしてからサンドペーパーで削ると金属っぽい硬さが出る。安全対策として刃先は丸め、見た目のシャープさは塗装とハイライトで演出する方法を選んだ。
塗装は下地処理を念入りに行い、メタリックベースに薄いウォッシュで汚しを入れる。エッジは淡い銀色でドライブラッシングして光を拾わせ、握る部分には本革や合皮で巻いてグリップ感を再現する。試着してバランスを調整し、身体に装着するストラップや鞘の取り付け位置まで確認して完成させるのが僕の流儀だ。気に入る一本ができると、イベントでいつも誇らしくなる。