現代小説で花言葉を題材にした作品としては、'The Language of Flowers'が非常に示唆に富んでいる。この物語はヴィクトリア朝の花言葉(フロリグラフィー)を軸に、登場人物たちが言葉にできない感情を花で伝え合う様子を丁寧に描いている。百合も登場し、その象徴は純潔だけでなく再出発や希望としても扱われる場面が印象的だった。
近代以降の詩では、百合の扱われ方がより多面的になる。ウィリアム・ブレイクの短詩『The Lilly』は、花そのものを通じて無垢と力強さの同居を描こうとする例で、象徴主義に接近する詩人たちも百合を好んで用いた。シャルル・ボードレールの『Les Fleurs du mal(悪の華)』のような詩集でも百合は登場し、堕落と美、官能と清浄が同居するイメージの媒介として機能している。こうした作品群を読むと、百合は単なる「清潔」の象徴にとどまらず、作品によっては死や再生、禁忌の美といった複雑な意味を帯びることがわかる。