翻訳者は厭くを英語にどのように訳すべきですか?

2025-11-07 06:51:44 59

3 回答

Wyatt
Wyatt
2025-11-08 21:40:59
翻訳の現場でぶつかることの多い小さな語、厭くについて考えてみる。古い文章や文語体に出てくるこの動詞は、単に「嫌う」だけでは収まらない層を持っているからだ。

私はまず文脈からの読み替えを重視する。相手の心情が強い拒否や嫌悪を示しているなら英語では "to loathe" や "to abhor" が適している。一方で、疲労やうんざり感、繰り返しに対する嫌悪を示す場面だと "to be weary of" や "to grow tired of" のほうが自然だ。古典作品、たとえば『源氏物語』のような抒情的な箇所では、あえて重い語を使って原文の硬さを残すか、やわらかな言い回しで読者の感情移入を優先するかを翻訳方針で決めるべきだ。

具体的には三つの選択肢を並べておくと実務で便利だ。1) 強い拒否を出す場合は "to detest/loathe/abhor"。2) 継続的なうんざり感や嫌気を表す場合は "to be sick of/be weary of/grow tired of"。3) 行為をやめることへの不快を示すなら "to recoil from/ to balk at"。語感の細かい差は脚注や訳注で補うと、原文のニュアンスを損なわずに読者に伝えられる。結局、厭くは単一の英訳に収まらない語で、場面と訳者の方針次第で語を選ぶのが正解だと思っている。
Paisley
Paisley
2025-11-10 23:02:29
辞書的な一語訳に頼らず、文脈で厭くの色を確かめる作業が重要だと感じる。例えば拒絶の強さや対象の種類(人、行為、状態)で最適な英訳は変わる。

私はまず原文の時制や接続を見て、厭くが示す持続性か瞬間的感情かを判断する。瞬間的で激しい嫌悪なら "to recoil from" や "to loathe"、継続的な嫌悪や飽きなら "to be tired of" や "to be sick of" とするのが安全だ。古い怪異譚の訳では語の古風さを保つためにやや硬い語、たとえば "to abhor" を選ぶことがあるが、現代英語の読者を重視する場合はより平易な表現を選ぶ方が読みやすいことが多い。

実際の判断は文全体の調子と翻訳の目的次第で、場合によっては訳注で語義の広がりを説明する。作品によってニュアンスが微妙にずれるため、『羅生門』のような短編の一節では語を絞って強い語感を残すことを優先することもある。こうした選択の連続が最終的な訳文の質を左右すると感じている。
Hazel
Hazel
2025-11-12 03:35:51
言葉の層をひとつずつ剥がすようにして厭くを扱うと、案外選択肢が見えてくる。口語で使われる嫌悪、拒否、疲弊のいずれに近いかで英語表現は変わるからだ。

私は翻訳作業ではまず動詞の対象と文法上の関係を確認する。対象に対する継続的な嫌悪であれば "to be averse to" や "to feel repelled by" が使いやすい。感情が強く、激しい不快感や軽蔑が表れている箇所では "to loathe" や "to despise" を検討する。反対に、単純に「もうたくさんだ」という消耗を表すときは "to be fed up with" や "to get sick of" といった口語表現のほうが読者に違和感なく伝わる。短い現代語訳を目指す場合と、原文の古風さを残す文学翻訳とでは選ぶ語が異なるので、それも常に意識している。

例を挙げると、『こころ』のような心理描写の強い作品では "to feel ashamed of" といった訳語に微妙な違いを織り交ぜることで、人物の自責や嫌悪が同時に伝わることがある。最終的には句全体の語感と英語読者の受け取り方を天秤にかけ、必要なら訳注で原語の広がりを補足するのが無難だと考えている。
すべての回答を見る
コードをスキャンしてアプリをダウンロード

関連書籍

赤き月に咲く花よ
赤き月に咲く花よ
異星オルドに拐われ、新たな名セトアとして生きることになった花子は、過酷な任務に放り込まれ、力も金も当てにできず絶望の淵へ追い込まれる。 そんな彼女を救ったのは、竜族の兄ベルと妹ツェティ、そして狼人族ヨウ。 旅と戦いの中で、セトアとベルは互いに惹かれ合いながらも、ベルは生まれにまつわる秘密ゆえに想いを封じ込める。身を引こうとする彼に、セトアは真っ直ぐに愛を向ける。 惑星の命運が揺らぐ中で紡がれる、少女がただひとりの存在と出会い、愛に育てられていく物語。
評価が足りません
22 チャプター
愛よ、風に舞う雪のように
愛よ、風に舞う雪のように
十八歳の結城海斗(ゆうき かいと)は清水心美(しみず ここみ)を激しく愛していた。 二十八歳の海斗は、その愛を自らの手で壊してしまった。 彼は外の愛人のために、妻の母を死に追いやり、かつて愛した人を深く傷つけた。 心美は母の遺骨を抱き、降りしきる雪の中を去っていった。 そして、二十八歳の海斗を、永遠に、あの冬に閉じ込めた。
16 チャプター
偽りの花束、灰に帰す愛
偽りの花束、灰に帰す愛
「枝織、あなたは本当にこの契約書にサインするの? よく考えなさい。一度サインしたら、あなたは国外にいるこのALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんの専属医になるのよ。七日後にはすぐ出発で、この数年間は帰国できない」 先輩である宮本綾香(みやもと あやか)は、理解に苦しむというように和泉枝織(いずみ しおり)を見つめ、その瞳には失望が満ちていた。 「それに、たった今聞いたわ。成景がALSと診断されたって。あなたはこの分野のトップクラスの人材であり、何より彼の妻でしょう。こんな時に彼のそばにいないで、国外へ行くなんて。少し薄情すぎるとは思わない?」 綾香の鋭い視線が枝織の心臓に突き刺さった。 全身が麻痺するほど痛かった。だが、枝織は唇を歪め、嘲りに満ちた笑みを浮かべた。 そして、枝織はきっぱりと契約書に署名し、綾香に別れを告げて家に戻った。
29 チャプター
五年の愛は風に流された
五年の愛は風に流された
「やるの?」 親友に送るはずだったネイルの情報を、間違えて親友の兄に送ってしまった。10分後、その兄から返信が来た。 「下にマイバッハの車が止まってる。すぐ降りてこい」 まさか、年齢だけじゃなく、それ以外もこんなに大きいとは思わなかった。 あの夜は甘い蜜のような時間が流れ、理性が吹き飛びそうになるほどだった。 目が覚めたあと、彼は責任を取ると言ってくれた。 彼は本当に私を溺愛してくれた。月と星は無理でも、それ以外ならどんな願いも叶えてくれる人だった。でもたった一つだけ、人前では絶対に彼女として認めてくれない。 5年後、彼は一人の女を連れて帰ってきた。 その女の腰に腕を回し、私に向かって「俺の彼女だ」と言った。 私は彼に聞いた。「それなら、あなたを5年間待ち続けた私は何だったの?」 男は気怠そうに笑いながら、私の全身を凍りつかせるような言葉を吐いた。 「待ってたって?俺、君に待ってろって言ったか? 夏目寧子(なつめ ねいこ)、これからはそんなふうに一途に誰かを好きになるのはやめなよ。正直、怖くなる」 なるほど、私がすべてを捧げた想いは、彼にとっては避けたい厄介なものだった。 彼に連絡しないようにして、諦めることを学んで、最終的には離れようとしている。 けれど一週間後、私が結婚式で別の人と誓いの言葉を交わしているとき…… かつて情熱的だった彼は、列席者の中で目を赤くしていた。
10 チャプター
暁の月に、山は淡くかすみ
暁の月に、山は淡くかすみ
霧島若菜(きりしま わかな)には神崎拓也(かんざき たくや)をベッドに誘い込むチャンスが19回あった。一度でも成功すれば彼女の勝ちだ。 もし19回全て失敗すれば、彼女は神崎夫人の座を諦めなければならない。 これは彼女と拓也の継母との賭けで、彼女は自信満々に契約書にサインした。 しかし残念ながら、最初の18回は全て失敗に終わった。 そして19回目……
23 チャプター
偽善夫、妹に精子を貸す
偽善夫、妹に精子を貸す
ある日、私の妹が突然SNSに妊娠検査の結果を投稿した。 それにつける文にはこう書かれていた。 「最も助けが必要だった時に、手を差し伸べてくれた愛する義兄に感謝します。おかげで、母になる夢が叶いました」 その投稿を見た私は、驚きと怒りでいっぱいになりながらも、「いいね」を押し、こうコメントを残した。 「おめでとう!じゃあ、旦那もついでにあげようか?」 ところが、その夜、旦那が帰宅すると、私に対して露骨に不機嫌な態度を取った。 「俺はただ芸子に精子を貸しただけだ。そんなに大げさに騒ぐなよ」
8 チャプター

関連質問

編集者は作品中の厭くの使用をどの基準で判断しますか?

3 回答2025-11-07 20:13:33
編集プロセスでは、作品中の『厭く』の扱いは単純に「やめる/許す」の二択では済まされない。まず意図と文脈が最優先で、場面が物語の核にどう結びつくかを慎重に検討する。私の経験上、衝撃的な表現が単なるショック目的で使われているなら削るか言い換える判断をすることが多いが、キャラクターの動機づけや世界観の描写として不可欠ならば、表現方法を練り直して残す方向を提案する。 編集の現場ではターゲット層と配信媒体の規制も重視する。若年層向けや雑誌の年齢指定が厳しい場合は、描写の強さや頻度を下げる/回想や暗示に置き換えるなどの調整案を出す。逆に成人向けでジャンル性が高ければ、読者の期待を損なわない範囲で許容することもある。具体例として、暴力描写と心理的嫌悪を徹底的に描いた作品の扱いは、掲載誌の読者層や連載のトーンと擦り合わせて決めたことがある。 最終判断には法律面や社会的感受性の確認も欠かせない。差別や犯罪美化に繋がる表現は、たとえ表現の自由の名の下でも編集として線引きが必要だと感じる。私は作品の主張を守りつつ、読み手に不必要な害を与えないバランスを探ることを常に心がけている。

読者は厭くの正しい意味を辞書でどう確認できますか?

3 回答2025-11-07 08:47:07
辞書で『厭く』を確認するときは、見出し語の欄を丁寧に読むところから始めると安心だ。 見出しの表記(漢字か仮名か)や読み、活用の情報がまず示されているはずで、そこに注目すれば語の基本像が掴める。次に意味の並びを確認する。辞書は意味を複数の番号で区別して書くので、どの意味が現代語か、どれが古語や文語的な用法かを示す注記を探す。用例が付いていれば、それを読んで実際の使われ方を確かめるとニュアンスがわかりやすい。 加えて、いくつかの辞書を横断するのが自分の習慣だ。たとえば『広辞苑』や『大辞林』で見出し語と用例を比べ、古い用例や語源については『古語辞典』を参照する。オンラインの辞書集約サイトも便利で、複数の辞書を瞬時に比較できる。最後に、実際の現代語での頻出や自然さを確かめるために『国立国語研究所の現代国語コーパス』などで用例を検索することもする。こうして段階的に確認すると、単に訳語を拾うだけでなく語の歴史や使用範囲、語感まで掴めるから役に立つと感じている。

日本語学習者は厭くの読み方と用法をどう覚えればいいですか?

3 回答2025-11-07 23:38:19
漢字の'厭'って、最初は見慣れないからちょっと戸惑うよね。僕はこうやって覚えたよ。 まず声に出して分解する。『厭』は「いや」「いと」などの読みがあることを確認して、よく出る語と結びつけるのが近道だと思う。たとえば『厭う』は文語や硬い文章で見かける読み方で、意味は「嫌がる・避ける」。現代会話では大抵『嫌う』や『嫌がる』を使うから、教科書やニュースではそちらを優先して覚える。古典や文学作品で出会うことがあるので、読み方の候補を辞書でチェックする習慣をつけると安心だ。 次に用法。感情の嫌悪・抵抗を表す点では『厭』は幅広く使えるが、場面に応じて言い換えが自然になる。例えば日常では「〜が嫌だ/うんざりだ」、丁寧表現や文語調では『厭う』や『厭わしい』に触れておくと文脈理解がしやすい。僕は好きな作品で出会った例文をノートに写して、どんな語と一緒に使われるか(主語や助詞の選び方)を観察している。たまに古典を読むときは『源氏物語』みたいな作品中の用例を辞書と照らし合わせると記憶に残るよ。 最後にメモリーテク。フラッシュカードで漢字→読み→意味→例文の順に並べ、週ごとに見直す。そうすれば“厭く”が出てきても慌てずに読み分けができるようになるよ。

評論家は古典作品での厭くのニュアンスをどう解釈しますか?

3 回答2025-11-07 05:35:46
古典のテクストを細部から追うと、単に「嫌いだ」「うんざりだ」という日常語以上の層が顔を出すことが多い。評論家はまず文脈依存性を重視していて、語が置かれた場面、語り手の位置、そして読者の想定される反応を手がかりに〈厭〉の意味幅を読み解く。例えば『源氏物語』では、登場人物の微妙な心変わりや季節描写と結びついて〈厭〉が示されることがあり、それは単なる嫌悪ではなく、無常観や世間の虚しさに対する感受性を示すことがあると論じられている。 文体的な分析も重要だ。古典では語の位置や助詞との組み合わせ、修辞的反復が意味を変化させるので、「厭う」と書かれても、それが台詞の演技性なのか、語り手のメタ的コメントなのかで解釈は分かれる。評論家は音読したときのリズムや漢字の字面が読者に与える響きにも注目して、言葉が引き起こす情動の層を積み上げていく。 経験的には、私はこうした多層的な見方を通じて古典の〈厭〉が生々しい個人的感情と社会的な表現様式のあいだにある緊張を可視化していると感じている。結局、評論家の解釈は単語の辞書的意味に戻るだけではなく、その語が開く物語的、倫理的、そして音声的な諸可能性を探る作業なのだと思う。

作家は小説で厭くを効果的にどのように表現できますか?

3 回答2025-11-07 09:49:45
描写における嫌悪は、読者の身体感覚に直接触れることができる稀有な表現手段だ。 僕は細部にこだわることで、単なる“不快”を“ぞっとする嫌悪”へと高められると考えている。具体的には五感のうちひとつか二つに焦点を絞り、触感や匂い、音の質感を丁寧に重ねる。たとえば皮膚のざらつき、腐敗の甘さ、あるいはぎこちない咀嚼音といった具合に、読者が思わず身体を引くような描写を小刻みに差し込むことで効果が生まれる。過剰に説明しすぎると冷めるので、節度ある省略と余白も重要だ。 視点の取り方も大事だ。内面の吐露を通して嫌悪を提示すると共感が生まれる一方、距離を取った客観描写で突き放すと冷徹な嫌悪を作れる。作品例として、肉体的な変容や蟲的な侵食を通して読者の身体反応を引き出す手法は、漫画の'寄生獣'に学ぶところが多い。また、社会的・倫理的嫌悪を扱うなら、表面的な行動よりも日常の光景ににじむ異臭を描くことで、より深い嫌悪感を与えられる。'アメリカン・サイコ'のように正常さの皮膜が剝がれる瞬間に現れる嫌悪は、説明よりも場面の積み重ねで強まる。 結局のところ、効果的な嫌悪表現は言葉の選び方とリズム、そして読者をどこに立たせるかの設計だ。僕はいつも、過度に露悪的にならずに読者の身体をほんの少し震わせる一節を狙っている。
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status