ページをめくるときにいちばん手に取りやすいのは、やはり読み心地を優先したものだと感じる。私が初心者にまず勧めるのは、翻訳の古典とも言える'All Men Are Brothers'(Pearl S. Buck)だ。文章が英語として非常に滑らかで、登場人物の性格や人情譚が読みやすく再話されているため、物語の大筋や雰囲気をつかむには最適だ。翻訳語り口が流麗なので、原作の韻律や細部は削られているが、読む楽しさを失わせない点が魅力だ。
訳し手の観点から言えば、全体を味わいたいなら分量重視の版にも目を通すべきだと感じる。私が昔から参照しているのは'Sidney Shapiro'による'Outlaws of the Marsh'で、こちらはかなり分量がある翻訳で、物語の多様なエピソードや細かい人物描写がきちんと残されている印象がある。英語表現はやや時代的で直訳寄りだが、そのぶん原作のストラクチャーや語りのリズムを俯瞰するのに適している。