年輪を重ねた作家の動きを断片的に観察すると、蓮月のスタイルは2000年代中盤と2018年以降の二段階で大きくシフトしていると結論づけられる。私の視点からは、前者はサウンド面での拡張、後者は表現の削ぎ落としが特徴だ。
2005年前後に発生した変化は、外部コラボや制作技術の導入が主因で、彼女の声がより多層的で攻撃的なアレンジに乗るようになった。作品例として'夢の
彷徨'がその代表だ。一方で2018年以降は、成熟と選択の期間で、音数を抑えたアレンジと詩的な凝縮が目立つ。ここではレーベル契約の見直しやツアー経験が影響し、私には意図的な距離感の取り方が読み取れた。
総じて、技術的進化、周囲のクリエイター環境、個人的な生活変化やキャリア上の選択が複合して作風を動かしたのだと思う。最後に付け加えると、変化を経た現在の表現には独特の落ち着きと芯の強さが宿っており、それが何より魅力だと感じている。