僕は『
ブラックリスト』という物語が最終的に感情の清算を迎えることを製作陣が望んでいたと感じる。シリーズを通じて最大の軸だったのは、
レイモンド・レディントンとエリザベス・キーンの関係であり、その起点となる「正体」と「嘘」が最後にどう着地するかが狙いだったはずだ。具体的には、真の過去の断片が明かされることで登場人物たちの動機が再解釈され、単なる犯罪ドラマ以上の“家族の物語”として完結する設計だったように思う。
製作側はラストシーズンでレッドの贖罪、エリザベスの主体性、そして国家や影の組織が残す爪痕を同時に描こうとしていたと想像する。つまり、単純な正義の勝利ではなく、誰かが大きな代償を払うことでしか得られない種類の決着だ。具体例で言えば、長年の嘘が一つの行為で清算され、その瞬間に関係性が“終わる”か“再構築”されるような終幕を狙っていた可能性が高い。
比喩的に言えば製作陣は視聴者に強い感情の余韻を残す終わり方を求めていた。『ブラックリスト』のテーマである裏切りと守護が最後にどう折り合いをつけるか──それが意図された結末の骨子だったと思う。