私の葬式で愛してると言って
「安里さん、お体はすでに多臓器不全の兆候を示しています。このまま治験を続ければ、3ヶ月ももたないでしょう」
医師が差し出した検査報告書を見つめながら、安里梨花(あんり りか)はかすかに苦笑した。
「構いません、3ヶ月あれば十分です」
これは江川晨也(えがわ ともや)のそばにいられる、唯一のチャンスだ。彼女は、それを手放すつもりはなかった。
病院を出た彼女はそのまま自宅へと戻った。玄関に足を踏み入れた瞬間、寝室から熱を帯びた情事の声が聞こえてきた。
足元でだらりと下がっていた手が、無意識にきゅっと握りしめられた。彼女は知っていた。
晨也の周囲には常に女性が絶えなかったことを。
だが、自宅に女性を連れ込んだのは、今回が初めてだった。
こんな場面は見たくない――そう思って目をそらしかけたとき、ふと視界の隙間からその女の顔が見え、彼女は足を止めた――