後悔は、雪になって
里奈の父親が痴漢の濡れ衣を着せられて逮捕されたあと、彼女は10回も仁に面会を求めた。
けれど、一度として会えなかった。
ほどなくして判決が下る。
父親は強制わいせつの罪で有罪となり、僻地へ送られることになった。
そして犯罪者の娘である里奈もまた、地元の組織の決定で見知らぬ田舎の男との縁談を押しつけられ、7日後には父親とともに地方へ移住することになった。
薄暗い部屋の中で、父親は肩を震わせながら泣いていた。
「里奈、すまなかった......父さんがお前を巻き込んでしまった......仁のところへ行け。あいつはあんなにお前を大事にしてたんだ、放っておくはずがない......きっと何とかしてくれるはずだ......」
だが里奈は泣かなかった。
父親の残した数少ない古い衣服を丁寧に畳み、色褪せた青い布製のバッグへ詰め込む。
感情を押し殺したような静かな声だった。
「行っても無駄よ。この数日、もう十分すぎるほど会いに行ったから」
「でもお前たちは婚約してるじゃないか!」
父親は痩せ細った手で彼女の腕を掴む。
「仁はお前のことを本当に好きだった。事情を知ればきっと......」
「もういいの、お父さん」
里奈はその言葉を遮り、窓の外へ視線を向けた。
「私の中では、もう終わったことだから。向こうへ行ったら、二人でちゃんと暮らそう」