雨音に思いを偲ぶ歳月
「ねぇ、航空券の手配ができたら連絡するね」
親友はこの言葉を聞いて、驚いて嬉しそうに答えた。「えっ、踏ん切りがついたの?」
汐見陽菜(しおみ はな)はまだ何か言いたかったが、ドアの外の騒がしさに興ざめした。
この時間なら、きっと桐生雲水(きりゅう うんすい)と守屋藍(もりや あおい)が桜庭結衣(さくらば ゆい)の結果を祝っているのだろう。
化粧室から出て、汐見陽菜は社長室へ辞表を提出しに行こうと思った。
桜庭結衣は汐見陽菜を見つけると、彼女に手を振った。
そして、甘く可愛らしい声で話しかけた。「陽菜さん、どうしてまた一人で行っちゃうんですか?こっち来て、皆さんと一緒に活動しましょうよ!」
その場にいた全員が桜庭結衣の言葉を聞こえるほどの声だった。
「いいえ、結構です。皆さんで楽しんでください」