感情を消した私、後悔する夫と息子
結婚式の一週間前、香月紀之(こうつき のりゆき)は私に花嫁が変わったと告げた。
彼の心にずっと住み着いていた、たった一人の女性が帰ってきたから、彼女と結婚したいのだと。
それを聞いた息子は、飛び上がって喜んだ。
「パパ、本当に杏奈おばさんが僕のママになるの?これからずっと、杏奈おばさんと一緒にいられるの?」
紀之は息子の頭を撫で、その目元には、私が見たこともないような安堵の表情が浮かんでいた。
「ああ。パパが杏奈おばさんと結婚したら、彼女がお前のママになるんだ」
結局、紀之と結ばれる夢は叶わず、代わりにあるシステムが私の感情を抜き取った。
私は無感情になったけれど、紀之は私に執拗に迫ってきた。
「澪、俺を見てくれ!昔はそんな目で俺を見なかった!」
息子の律までもが、泣きながら私の手にしがみついた。「ママ、お願いだから、僕を抱きしめてよ......」