愛も縁も切れました。お元気でどうぞ
朝倉蓮が初恋の人と結婚する――
七年も彼のそばにいた白石苑は、泣くことも怒ることもせず、自ら彼のために盛大な結婚式を準備した。
彼の晴れの日、苑もまた、純白のドレスに身を包んだ。
長く続く大通り、向かい合うように進む二台のウェディングカーがすれ違う。
その瞬間、新婦同士がブーケを交換する。
その時だった。蓮は、苑が彼に向けて言った言葉を確かに聞いた。
「お幸せに」
蓮は驚愕し、そして走った。5キロもの距離を全力で追いかけて、ついに苑のウェディングカーに追いついた。
息を荒げ、彼女の手を掴んだその瞬間、彼の目からは涙が止めどなく溢れた。
「苑、お前は俺のものだ」
だが、車から降りてきた一人の男が、そっと苑をその腕の中に抱きしめた。
「彼女が君のものだって?じゃあ、俺のものは誰なんだ?」