あなたがくれた花、枯れた
お盆の休みに、私は白野健太(しらの けんた)の好みに合わせて旅行ルートを綿密に計画した。
しかし、彼はまた約束をドタキャンした。
息を深く吸い込むと、私はためらうことなく、彼の兄嫁、寺田若子(てらだ わかこ)の非公開ツイッターアカウントを開いた。
【海でサーフィンがしたいって言ったら、白野機長が彼女を置いて、私に付き合ってくれたんだよね】
【亡くなったお兄さんの代わりに、ちゃんと私を守るって言ってくれたよね。本当に、約束ちゃんと守ってくれている】
添付された写真には、健太が砂浜にしゃがみ込み、サーフボードを丁寧に拭いている姿が写っていた。
若子はビキニ姿で、CAらしい抜群のスタイルを惜しげもなく披露していた。
身をかがめて滑り止めワックスを手渡すとき、その胸元が無意識に健太の額に触れた。
健太は避けようともせず、穏やかな笑みを浮かべていた。
この目を背けたくなるような光景を見ても、私はもはや以前のように取り乱すことはない。黙ってスクリーンショットを健太に送り、同時に別れを告げた。
健太は気にも留めなかった。
「どうせ今回も数日で終わるだろ。適当にきっかけを作れば、またすぐ戻ってくるさ」
だが、彼は間違っていた。以前の私がすぐに戻っていたのは、彼を愛していたから。
でも今回は、もう戻らない。