あなたの「愛してる」なんてもういらない
「愛しているのは君じゃない」
冷たい瞳で、冷たい顔で、冷たい声ではっきりと私に向かってそう告げたのは、将来結婚すると思っていた、私の婚約者である御影 直寛(みかげ なおひろ)。
彼は、お祖父様からの命令で私との交際、婚約に嫌々応じたのだ。
けれど彼の心の中にはずっと初恋の人、速水涼子(はやみ りょうこ)がいた。
それでも、私はいつか直寛が私自身を見てくれると思っていた。
けど、彼からはいつも冷たい態度を取られるばかり…。
そんな日々を送っていた時、彼は私とパーティーに参加していたのに私を置き去りに、涼子の元へ走った。
絶望した私は、お酒を飲み、気づいたら見知らぬ男性と朝を迎えてしまった。
慌てて逃げた私だったけど、その男性がまさか小鳥遊グループの息子だったとは夢にも思わなかった。
その後。
直寛は自分の過ちに気づき、私に許しを乞う。
けれど、私はもう直寛への気持ちは捨て去った。
土下座されても。
愛を伝えられても。
もう私は直寛よりも愛しい人ができたから、あなたはもういらない。