愛のナビゲーション
成瀬翼(なるせ つばさ)のコ・ドライバーとして彼の隣に座り続けてもう十年。私たちはレース界で誰もが認める「最高のパートナー」だった。
だというのに、私が交通事故で流産し、命の危機に瀕していたその時、彼は女助手の島田美耶(しまだ みや)を助手席に乗せて、見せびらかすように街を流していた。
血まみれの私を視界に入れながらも、翼は無慈悲にアクセルを踏み込み、隣の美耶はそれを見て楽しそうに高笑いしていた。
「お願い、病院へ連れて行って……」
縋り付く私に、翼は冷たく吐き捨てた。
「いい加減にしろ。コ・ドライバーのプロが交通事故なんて、演技はやめろ?」
呼吸すらままならず、彼に対する期待は完全に潰えた。
その後、私が別のレーサーのコ・ドライバーになると、翼は一転して嫉妬に狂い始めた。
病院の門の前で三日三晩膝をつき続ける彼を見下ろし、私は眉をひそめて問いかける。
「今度は、あんたこそ演技をやめてくれない?」