断ち切るのは我が意
富豪の娘で天才少女と謳われた二条萌花(にじょう もえか)は、身分違いの男を七年も追いかけた後、結婚して三年が過ぎた。
ある日、萌花は彼の心にずっと他に想いを寄せる女がいることを知った。
彼が萌花と結婚したのは、その女の留学資金を得ることが狙いだった。
彼女が生まれたばかりの子供を連れて帰国すると、一か月千六百万円の産後ケアセンターに入った。
「彼女は出産したばかりで体が弱っている。お前は料理がうまいから、栄養満点の食事を作ってやれ」と夫は、まるで当然のことのように言い放った。
「私の息子は人並み外れて優秀なの。側室がいて当然よ。女ならもっと度量が大きくなくちゃ」と姑は鼻高々に言った。
それに小姑まで「子供も産めない役立たずが、お兄ちゃんと結婚できたんだからありがたく思って私たち家族に尽くすのは当然だわ!」と嘲るように言った。
愛人の産後ケアまで一家総出で押し付けられると萌花の中で何かが吹っ切れた。
その瞬間、萌花の中で、理性の糸が『ぷつり』と切れた。もう、我慢できない。
クズ男一家を叩き潰す過程で、萌花の背後にはいつも、ある人物が支援していた。
振り返ると、そこに立っていたのはかつての宿敵であり、今や誰もが恐れ敬う小林家の三男・小林時雄(こばやし ときお)だった。
萌花は言った。「なぜ私に手を貸すの?何か下心があるんでしょ?」
彼は言葉で答える代わりに、いきなり彼女をベッドに押し倒した。
目を真っ赤に充血させた彼は言った。「萌花、俺は十年も前からお前を想い続けてきた。この十年間、俺がどんな思いで過ごしてきたか、お前に分かるか?」