LOGIN地震が起きたとき、誠実で家族思いと噂されていた夫の川原和馬(かわはら かずま)は、私と瓦礫の下に押し込められていた子供たちを置き去りにした。 子供たちが必死に助けを哀願したにもかかわらず、彼は高嶺の花である浅川梨奈(あさかわ りな)とその娘を抱え、振り返ることなく去っていった。 その結果、梨奈とその娘は軽傷で済んだ。 一方で、私の息子と娘は鉄筋に胸を貫かれ、永遠にこの世を去った。4年目の結婚記念日であるはずのその日は、子供たちの命日となった。 1週間後、子供たちの葬式で、和馬から、子供たちがどの病院にいるのかと尋ねる電話がかかってきた。 本当に滑稽なことだ!梨奈とその娘を落ち着かせてから、彼はようやく自分の子供たちに会う時間ができたのだ。 私は言った。「もう1週間も経ったのよ!今になってやっと子供たちのことを思い出したの?和馬、あんたが死ねばいいのに!」
View More1ヵ月後、私は泰一と晴美の墓に行った。泰一と晴美の墓の前に、すでに乾いていた果物をたくさん見つけた。ウルトラマンとプーさんの人形があった。また一通の手紙もあった。そこにはこう書かれていた。【泰一、晴美、ごめんなさい、パパは最悪のパパだ。お前たちが許してくれるなんて思っていない。でも、お前たちの仇を取るさ」康一は海外に逃亡していたが、現地の警察に捕まった。訴えが成功した。裁判所は両親の家を私に返してくれた。家を引き取りに行った日、私は和馬の筆跡が書かれた付箋を見つけた。「あと1ヶ月……あと1ヶ月で、ちょうど二人分の……」最後の一文字は、「命」という文字が書き残されていた。まだ書き終わっていないが、私はその続きを知っている。和馬が1ヶ月後に梨奈を階段から突き落とすことを選んだのは、梨奈が康一の子を宿っていたということを知ったからだ。彼は泰一と晴美の仇を取るために、梨奈の二人の子供の命を奪うつもりだった。その日、私が両親の家から出てくると、突然激しい雨が降り出した。雨が上がった後、どこからともなく飛んできた2匹の蝶が私の肩に止まり、ずっと離れようとしなかった。「陽翔、早く見て!2匹の蝶だよ」「うん。愛に満ちた人は蝶になって、親しい人に別れを告げに来るって聞いたけど。もしかしたら、彼らが生まれ変わるんだ」私は涙を浮かべた。「泰一と晴美はまだ私をママに選びたいと思うかしら」2匹の蝶は羽を振り、飛び去っていった……私が蝶を追いかけようとしたとき、陽翔が私の手を強く握った。「どうしたの?」「俺の人生で最大の過ちは、お前が結婚する時にお前を止めなかったことだ。もしあの時、お前がこれほど辛い思いをすると知っていたら、心の内を明かしたはずだ。絵里、俺は高校生のときから、お前が好きだ。15年間、ずっと思いを寄せてきた……」空は青く、今度、私も陽翔の手を強く握った。(終わり)
梨奈がずっと断食していたから、病院が私に助けを求めた。私は彼女に会いに病院へ行くことにした。私が梨奈に会いに行くと聞いた陽翔は、全く同意できなかった。私の何度も保証した後、彼は最終的に妥協して、私と一緒に行くことにした。1ヶ月ぶりに会わなかった梨奈がこんなに老けているとは思わなかった。以前の得意げな顔が今、全然見えなかった。驚くことに、彼女は髪が白くなり、乱暴に束ねっていた。「やっと来たわね」「何が言いたいの」「あなたがどうやって、和馬に私にこんな残酷な仕打ちをさせたのか知りたい」私は冷たく笑った。「お天道様はお見通しだっていうのよ。あなたは和馬を愚か者として扱っていた。愛してくれる人を欺いたら、報いを受けるわよ」「そんなんじゃないの!私は彼を騙していないわ!」「騙していない?ペーパー離婚は嘘だったの?それとも、彼を利用しなかったの?それとも、地震の時、あなたは全然大丈夫だったのに、彼を騙し、泰一と晴美を見捨てさせたことはなかったの?あんたは、心が痛まないの?泰一と晴美が助かったかもしれないのよ。いくら理由が立派でも、他人の命を傷つける言い訳にはならない。これは人間としての基本だよ!」「そうよ。私はあなたの子供を傷つけたわ!でも、その代償も払った。もう御相子よ。だって、私の雪も亡くなったの。どれだけ心が痛むか分かるの?それだけじゃないの……ここも……」梨奈は空っぽのお腹をなでた。「あの時、和馬が私を階段から突き落とした時、私は子供を宿っていた。私が失ったのは雪だけじゃないの。この世に、無事に生まれてくるはずだった二人目の子供も失ったの」私は耳を疑うような衝撃を受けた。「和馬の子供を妊娠したの」梨奈は狂気に満ちた笑いを浮かべた。その生気を失った目は、私に彼女の感情が見えなくさせた。「ハハハ、知りたいの。和馬はもう死んだのに。あなたはまだ、和馬があなたを裏切ったかどうかを知りたいの。こっちに来て……ちょっと来てくれれば、私と和馬の真実を全部話すから」私はためらった。和馬にとっくに絶望していたが、なぜか今この瞬間に、その答えを知りたくてたまらなかった。恐らく私は、この4年間の結婚生活に対して、ずっと説明を求めていた。私が近づこうとすると、陽翔は私を引き戻した。
和馬が確認しに行ったことを知った後、私は彼が残りのことをしてくれると思った。私はバルコニーのソファーに横たわり、子供たちの遺影を手にした。「泰一、晴美、ママと一緒に日光浴を浴びよう」翌日、私がスマホをスワイプすると、和馬と梨奈とのことを見かけた。ビデオの中で、和馬は梨奈の髪をつかみ、なぜ嘘をついたのかと尋ねた。梨奈がそれ以上に狂ったとは思わなかった。「あんたは騙しやすいからよ。あの時、あんたが貧しかったから、結婚しなかった。なのにあんたはまだ、私があんたを愛してるって信じるとはね。あんたのような人は、飼い犬のように、足を蹴ってから餌を与えれば、まだ引き返すでしょ。でも、私があんたにとって、それほど重要だと思わなかったよ。あんたはなんと自分の子供を見捨てた。あの時、あんたの子供は鉄筋で胸を貫かれたのよ。それなのに、私はただのかすり傷だったわ」梨奈は狂気的に笑い、その顔は歪んでいた。「じゃ、お前は本当にお金のためだけに、再び俺のところに戻ってきたのか」「知っているなら、なぜまだ私に尋ねる?」和馬は突然、力を失ったように梨奈を放し、そっと床に跪いた。翌日、紀念館の責任者である和馬が処分を受けてクビになったというニュースは、すぐにインターネット上で広まった。和馬は両親の家の鍵を返しに、私の家に来た。「すまない、絵里、ご両親の住宅をひそかに引き当てにするべきではなかった」「鍵を返せば、家を引き当てにすることが取り消せると思っているの」和馬は私を見て、惨めに笑った。「鍵は、お前に返すよ。元々お前のものだから。もし将来、お前がそこに戻るなら、鍵が必要だ。ご両親のものは誰にも触らせなかった」私は鍵を手に取り、戻ろうとした。和馬は署名済みの離婚協議書を取り出し、私に手渡した。「俺は離婚に同意するよ、明日午前9時に役所で会おう」「うん」私はまた振り返って帰そうとした。和馬はポンとひざまずいた。「絵里、子供たちの墓がどこにあるかを教えてくれないか」「彼らはあなたに会いたがらないわ!あなたを許そうともしない」「わかってる、俺には子供たちに会う顔なんてないし、ましてや許してもらおうなんて思ってもいない……でも、俺は最後に子供たちに会えなかった。今や、彼らがどこに埋葬されているか
和馬は一晩中、そのホテルの入り口で見張りをした。翌日、梨奈や康一、雪の家族3人が一緒に楽しそうに出かけた。和馬はひげだらけの顔でドアの前に立っていた。「おじさん、どうしてひげを剃らずに来たの。今日、雪はパパと一緒だから、おじさんがいらないよ」梨奈は慌てて雪を康一のところに押しやり、和馬を横に引っ張った。「ごめんなさい、先輩。康一が昨日帰ってきたの。未解決の問題について、相談にきただけ。先輩が思ったような関係じゃないよ……」もし和馬は、康一が梨奈と寝ているのを自分の目で見ていなかったら、梨奈の言ったことを信じただろう。恐らく、彼女がこんなに可哀想そうに何を言っても、和馬はすべて信じてしまうだろう。。「未解決の問題って?」「私、嘘をついてないよ。先輩は先に戻って。問題が解決したら、先輩にきちんと説明するから。いいの」「分かった。で、記念館で働くための資料はもう提出した。お前はもうすぐ、記念館の正式な職員になれる」「それは素晴らしいよ、先輩。やっぱり先輩が一番優しい、ありがとう」梨奈は興奮して、和馬を強く抱きついた。和馬も梨奈を抱きしめた。抱きしめた瞬間、和馬は小さな盗聴器を梨奈のバッグに投げ入れた。それから一日中、彼は梨奈たちの会話を聞いていた。「記念館で働けるのか」「そうよ。そもそも彼は私を怒らせるために、今の奥さんと結婚したの。だから、ただの仕事、私が望む限り、彼は手を尽くしてくれるよ。将来、安定した仕事さえあれば、銀行に行ってローンを申請することが難しい問題ではないよ。主なものは、和馬を通じて、絵里の財産を奪うことよ。彼女の財産を奪えば、私たちは成功するよ」「本当に俺の良妻だな。このように、お前の先輩を騙していいのか」「彼は、いつも私のキープよ。それを使わないなんて馬鹿じゃないの?でも、もし彼が昔と同じように貧乏で役立たずなら、彼に連絡しないわ。彼が教授の娘と結婚したから、顔を立てて会ってやったの。そうでなければ、川原和馬なんて、私の眼中にないのよ」康一は梨奈の顔にキスをした。和馬は苦しそうに拳を握りしめた。「パパ、今度戻ってきて、もう行かないよね。私とママと一緒にいてほしいよ。私は本当に川原おじさんが嫌いよ。彼がママと親しくなるのを見て、とても嫌いだよ」「雪、いい