婚約者に裏切られた私は、幼なじみを選ぶ
私の名前は安藤恵理子(あんどう えりこ)。
結婚式の前日、婚約者の木寺大介(きでら だいすけ)が酔いつぶれた。
彼を家まで送る途中、私のことを私の友達・清水早苗(きよみず さなえ)だと勘違いした。
「早苗、明日子供を式場に連れて来るなよ。俺が実父なんて恵理子にバレたらまずいから」
急ブレーキの衝撃で、大介は座席にぶつかり、酔いがさめた。
私だと分かると一瞬呆然とし、ゆっくり口を開いた。
「聞いてしまったのか?悪いが、結婚式は一旦延期する。安心しろ。早苗は結婚する気はない。だが彼女と子供ができたんだ。責任を取らなきゃならない。
お前の親友だろ? 彼女が一人で子供を育てるのが可哀想だと、お前も思うだろ?だから結婚の話はその子供が小学校に上がってからにしよう」
私は無理矢理笑みを作った。「……ええ、わかった」
家に着くと、彼は何も言わずスーツケースを引きずってその場を去った。
私は涙を拭い、ベッドに座ってぼんやりしていた。
その時、携帯が鳴り響き、幼なじみが嗄れた声で言った。
「恵理子、彼と結婚するのはやめてくれ。頼むよ」
私は少し沈黙した。
「うん」