神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる

神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる

last updateLast Updated : 2025-07-01
By:  甘梨鈴Updated just now
Language: Japanese
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神殿育ちの平民Ωであるエマは、婚約者の第二王子から虐待を受けていた。そんなある日、エマは隣国の伯爵・ルシアンに出会う。 長い銀髪に紅い瞳を持つルシアンは、誰もが見惚れるほど美しい青年だった。 ルシアンの優しさに、次第に心惹かれていくエマ。そしてルシアンもまた、健気で可憐なエマに恋心を抱くようになる。 だがエマが第二王子の婚約者である以上、この関係は許されない……。 不憫で健気なΩと、隣国の伯爵αの禁断ラブストーリー!

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Chapter 1

プロローグ

 エマの躰は燃えるように熱く、息を吐くのもやっとだった。

「はぁッ……んぅっ、ぅぅッ」

 発情(ヒート)がくると、いつもこうだ。

 エマが理性を保とうと必死で歯を食いしばっても、躰の奥が激しく疼いて仕方ない。

 すでに成人を迎えたものの、まだ十六歳のエマにとっては、若さゆえに発情がことさら辛く感じられる。

 発情期がくるたびに自室に引きこもり、一人で耐え抜くしかないと思っていたのに。

「私の、可愛いエマ」

 エマを覗き込む、甘い眼差し。

 銀色の長い髪にルビーのような赤い瞳は、まるで月の精のようだ。

 エマが密かに恋い慕う、銀髪のアルファ。

「ぁんッ、はぁッ……る、ルシアン様ッ」

「エマ。もっと声を聞かせて」

 耳元で囁く甘い声に、ビクビクと躰が震えた。

 この場にいるはずのない彼が、火照ったエマの躰を慰めようとしてくれてるのだ。

「ぁぁん、ぁぁっ、やぁんっ」

 乱れた夜着は、エマの秘部を露わにして、もう意味をなさない。

 発情したエマは全身の肌を赤く染めて、張りつめた雄から白濁の蜜をこぼし、汗と愛液でシーツを濡らす。

 エマはもう何時間もの間、躰の疼きを静めるために半身を慰め、一人で果てた。

 何度も達しているせいで、ルシアンの指が肌を撫でただけで、身悶えてしまう。

(もっと、触って欲しい……っ)

 エマは無意識に腰を揺らし、ルシアンの緩い愛撫に喘いだ。

 すると、ふいに股間をひと撫でされる。

「ひゃぁぁッ! ぁ、あぁぁんッ!」

 淫らな刺激に、嬌声を上げる。

 エマの瞳からは、ポロポロと涙があふれた。

 快楽に悶えるエマの眦に、ルシアンがそっと口づける。

 そして、耳元で甘ったるく囁いた。

「私の愛しい薔薇。貴方は、大人しく愛でられていれば良いのですよ」

「ぁんっ、そ、そんな……」

 首を振るが、ルシアンの手は止まらなかった。

 フッと笑みを浮かべ、エマの昂ぶった雄を扱く。

「ひゃぅぅッ!!」

「ああ、もうイってしまいましたか」

 ビクビクと躰が跳ね、頭が真っ白になる。

 だが、絶頂を迎えた躰に、容赦なく次の快楽が襲いかかった。

「ァ、ぁぁッ……んぁぁ、ァァッ!」

 ルシアンのしなやかな指が、緩んだ蕾を掻き回したのだ。

 すでに愛液に濡れ、ぐっしょりとシーツを濡らしているそこは、ルシアンの指を悦んで受け入れる。

「ぁぁん、ぁぁっ、やぁんっ」

 グチュグチュとイヤらしく響く水音に、耳を塞ぎたくなる。

 それなのに、蕾はキュッとルシアンを締めつけ、離そうとしない。

「フフ、ここは正直ですね」

「ぁぁッ」

 ルシアンのからかう声に、エマは思わずシーツに顔を埋めた。

 視界からルシアンを追い出しても、中を弄る指は止まらない。

 前にも、中を弄られたことはあるけど、あの時よりも、ひどく感じてしまう。

 ルシアンの長い指がイイところを突くたびに、白濁が迸った。

「ァァッ……はぁ、んんっ」

「エマ、我慢せずにイきなさい」

「ひゃぁぁっ!」

 ルシアンの指に攻められ、はしたなく乱れて、何度も絶頂を迎えた。

 快楽に理性を溶かされるうちに、エマは淡い夢をみてしまう。

(ルシアン様が、僕を抱いて下さったら……)

 あの美しいルビーの瞳に射貫かれて、雄々しい昂りに最奥まで穿たれたら、どれほど甘美な絶頂を迎えられるだろうか。

 想像するだけで胸が震え、思わずルシアンのシャツを掴んでしまった。

「ぁん、っ……あぁぁっ」

「エマ?」

「ルシアン、さま」

 この方に、抱いて欲しい。

 エマの恋心も、オメガの本能も、それを望んでいる。

 だけど、わずかに残った理性が、冷たく咎めるのだ。

(……そんなこと、許されるはずない)

 どれほどルシアンを恋い慕っていても、エマは第二王子の婚約者だ。

 王子に虐げられていようと、不貞を犯せば罪に問われる。

 ルシアンだって、そんな罪を犯してまでエマを望みはしないだろう。

「ッ……ぅっ」

「エマ、泣かないで下さい」

「ぁ……」

 ぼやけた視界に、ルシアンの心配そうな顔が映る。

 眦から落ちる涙にようやく気付き、あわてて顔をぬぐった。

「貴方があまりに可愛いから、意地悪しすぎてしまいました」

 ルシアンが、優しく頭を撫でてくれる。

 困ったような顔でエマを見つめ、頬にチュッとキスをくれた。

「る、ルシアン様っ!」

「エマ。貴方の発情(ヒート)が落ちつくまで、側にいます」

「……はい」

 ルシアンの言葉に、エマは微笑みを浮かべる。

 愛しい人の手でこの身を慰めてもらえるのだから、エマは幸せだった。

 叶わない願いに、胸を引き裂かれたとしても。

(ーールシアン様が、僕の婚約者だったら良かったのに)

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 エマの躰は燃えるように熱く、息を吐くのもやっとだった。 「はぁッ……んぅっ、ぅぅッ」  発情(ヒート)がくると、いつもこうだ。  エマが理性を保とうと必死で歯を食いしばっても、躰の奥が激しく疼いて仕方ない。  すでに成人を迎えたものの、まだ十六歳のエマにとっては、若さゆえに発情がことさら辛く感じられる。  発情期がくるたびに自室に引きこもり、一人で耐え抜くしかないと思っていたのに。 「私の、可愛いエマ」  エマを覗き込む、甘い眼差し。  銀色の長い髪にルビーのような赤い瞳は、まるで月の精のようだ。  エマが密かに恋い慕う、銀髪のアルファ。 「ぁんッ、はぁッ……る、ルシアン様ッ」 「エマ。もっと声を聞かせて」  耳元で囁く甘い声に、ビクビクと躰が震えた。  この場にいるはずのない彼が、火照ったエマの躰を慰めようとしてくれてるのだ。 「ぁぁん、ぁぁっ、やぁんっ」  乱れた夜着は、エマの秘部を露わにして、もう意味をなさない。  発情したエマは全身の肌を赤く染めて、張りつめた雄から白濁の蜜をこぼし、汗と愛液でシーツを濡らす。  エマはもう何時間もの間、躰の疼きを静めるために半身を慰め、一人で果てた。  何度も達しているせいで、ルシアンの指が肌を撫でただけで、身悶えてしまう。 (もっと、触って欲しい……っ)  エマは無意識に腰を揺らし、ルシアンの緩い愛撫に喘いだ。  すると、ふいに股間をひと撫でされる。 「ひゃぁぁッ! ぁ、あぁぁんッ!」  淫らな刺激に、嬌声を上げる。  エマの瞳からは、ポロポロと涙があふれた。  快楽に悶えるエマの眦に、ルシアンがそっと口づける。  そして、耳元で甘ったるく囁いた。 「私の愛しい薔薇。貴方は、大人しく愛でられていれば良いのですよ」 「ぁんっ、そ、そんな……」  首を振るが、ルシアンの手は止まらなかった。  フッと笑みを浮かべ、エマの昂ぶった雄を扱く。 「ひゃぅぅッ!!」 「ああ、もうイってしまいましたか」  ビクビクと躰が跳ね、頭が真っ白になる。  だが、絶頂を迎えた躰に、容赦なく次の快楽が襲いかかった。 「ァ、ぁぁッ……んぁぁ、ァァッ!」  ルシアンのしなやかな指が、緩んだ蕾を掻き回したのだ。
last updateLast Updated : 2025-06-02
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第1話 抑制剤のない発情期
「あぁぁ……ぅっ、くぅっ」  エマが身じろぎするたびに、ベッドの脚がギシッと音を立てた。  羽毛ではなく藁が敷き詰められただけの薄いベッド。敷布は色褪せ、体を覆うシーツは摩耗している。  古い家具に分厚いだけのカーテンで覆われた、みすぼらしい部屋だが、今のエマには、それを嘆く余裕もない。  発情(ヒート)が始まって、どのくらい経ったのか。 「ぁぁッ、はぅ……ぁ、ンッ」  エマは苦痛に喘ぎながら、ベッドの上でひたすら耐えた。  高熱を出したときのように躰が熱く、額から汗がしたたり落ちる。  金色の短い髪が、首にぺたりと張り付き、少しだけ不快に感じる。だけど、それも一瞬だ。  腰の奥が激しく疼き、何度となく己を慰める。  それでも熱はおさまらなかった。 「はぁぁッ、ッ……ぁ、あぁぁっ」  吐き出す息さえ苦しくて、涙があふれる。  エマはベッドの上で身を丸め、シーツをかきむしった。  ジクジクと疼く熱は、エマの思考を快楽の淵に落とそうとしてくる。 「ンッ、ぅぅ……ッ」  抑制剤のない発情期が、これほどつらく苦しいものだと、エマは今まで知らなかった。  十四歳で初めて発情期を迎えた時からずっと、抑制剤を飲んで過ごしてきたからだ。  抑制剤を飲んでいても、発情期になれば微熱や倦怠感に悩まされていた。だから自分の体は、薬の効きが悪いのだと思っていたけれど、違ったのだ。 『オメガは、快楽に溺れる獣』  他国でそのように揶揄され蔑まれる理由を、この身をもって思い知った。 「んぁぁっ、ぁぁ、ァァッ」  木綿の夜着をはだけさせ、シーツで下半身を隠しながら、自らを慰める。  そうして精を放つと、疼きが和らぐからだ。  エマは自らの昂りを握りしめ、夢中で扱いた。 「ぁ、ァァッ……あぁぁんッ!」  発情(ヒート)した躰は、あっけないほど簡単に絶頂を迎える。  ビクビクと躰が震え、乱れた息を必死に整えていると、あざ笑う声が聞こえた。 「ハハッ。またイったのか?」 「ぁっ……で、殿下ッ」  ベッドにうずくまったまま、エマは顔を上げる。  豪奢な椅子に腰掛け、嘲りの笑みを浮かべているのは、栗色の髪と瞳を持つ、若い男。  最高級の生地で仕立てた服を纏い、意地の悪い顔をした彼こそが、第二王子のレオナールだ。
last updateLast Updated : 2025-06-02
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第2話 婚約者からの侮蔑
  王族の婚約者に選ばれた者は、西殿の中にある「琥珀の館」へ移り住むのが慣例だ。だが、エマが案内された先は、その館の離れにある小さな部屋だった。  元々は使用人が住んでいた部屋を、レオナールがエマにあてがったのだ。  さらにレオナールは、エマの持ってきたわずかな荷物から、オメガに必要な抑制剤も、発情時の熱を静める鎮静剤もすべて奪い取り、離れで暮らすように命じた。 『貴様には、この使用人部屋で十分だろ?』  侮蔑のこもった目で見下し、エマを蔑んだ。  本来ならエマは、レオナールの婚約者として「琥珀の館」で閨を共にし、子を生むのが役目。  だがレオナールは、エマの発情期が始まると離れへやってきて、見物を始めたのだ。  ベッドで苦しむエマを見下ろし、酒の余興を楽しむように、ゆったりと寛いでいる。  レオナールの為に用意された、豪奢な椅子と大理石のテーブルだけが、古い部屋の中で輝きを放ち、異質な空間を生み出していた。 「んぅッ……はぁ、はぁっ……ァァッ」  エマはシーツで下半身を隠し、熱い息を吐きながら、レオナールを見上げる。 (苦しいッ……助けて……!)  薬さえあれば、まだ耐えられる。  レオナールに助けを求めようとしたが、醜悪な笑みを見てしまうと、声が出なかった。 「オメガというのは、浅ましいな」  レオナールは笑いながら、金細工の杯を揺らす。  ソファーに体を預け、足を組んで尊大な態度をとりながら、エマの痴態を冷たく見下ろした。 「このように卑しい平民の男が『聖樹(せいじゅ)』などと、ずいぶん馬鹿げた話だ」  不快そうに呟く王子に、側にいた従者が同意する。従者は蛇のような目でエマを冷たく睨み、吐き捨てるように答えた。 「仰るとおりです、レオナール様。『聖樹』とは本来、高貴な生まれのオメガが担うもの。平民ごときを『聖樹』に仕立てるなど、王族への冒涜です」 「まったくだ。見ろ、この卑しい有様を。人目もはばからず、自慰に耽ってるのだぞ?」 「ええ。汚らわしいオメガです」  レオナールの嘲笑に、側に控えた従者も侮蔑の目を向けてくる。  発情に苦しむエマを助けるどころか、あざ笑って、貶める。  婚約者とは思えぬ仕打ちに、エマは震えながら奥歯を噛みしめた。  なぜ、こんな目に遭うのか分からない。
last updateLast Updated : 2025-06-02
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第3話 酷い仕打ち
 帝国ではオメガ蔑視が強いと聞くけど、このランダリエ王国に限っては、オメガは『聖樹』と呼ばれる、尊い存在のはずだ。  ランダリエの神殿で身を清めて育ったオメガは、アルファと番うと「必ずアルファを生む」からだ。  そのために、王国では生まれた子供がオメガだと分かると、身分を問わず神殿に入れられる。  エマも、貧しい村で生まれたが、巡礼で訪れた神官に見いだされて『聖樹』となり、いずれ高貴なアルファに嫁ぐ身として、厳しい教育も受けてきた。  第二王子との婚約は王命だったが、立派な伴侶になろうと決意したのに……。  レオナールは、エマに名を呼ぶことも許さず、婚約式の後には『貴様には必要ない』と用意された婚約指輪も取り上げた。 「んぁッ……お、お願い、しますッ……どうか、薬を……ぅぅっ!」 「ふんっ。卑しい平民にやる薬などない」  苦しみから逃れようと縋っても、レオナールは冷たく言い放つ。 「ぁぁッ……ど、どうして……ァッ」  襲い来る熱に悶えながら、エマはレオナールに問いかけた。 「なぜ……このように酷い仕打ちを、なさるのですか?」  離れに軟禁され、薬を奪われ、発情期に入ったいま、激しい苦痛に苛まされる。  発情した体は、焼かれたように火照り、腰の疼きはやまず、いくらイってもまた昂ぶりが頭をもたげる。  もうまる一日、水しか口にできず、身悶え、汗と精液でシーツをびっしょりと濡らした。  疼く熱に苦しむエマを、レオナールは冷ややかに見下ろし、杯をギリッと握りしめる。 「なぜ、だと……!?」  レオナールが鋭い目でエマを睨み、怒声を上げた。 「王妃も、兄上の正妃も、公爵家出身の令嬢だ! それなのに、オレに与えられたのは平民の男だぞ!?」  レオナールは杯を床に投げ捨て、激昂する。 「貴様のせいで、オレはとんだ笑い者だ!」 「ッ……」  罵声を浴びせられ、エマは身を縮める。  けれど、それはエマが望んだことではない。 「こ、この婚約はッ、……陛下が、お決めになったことです……」 「ああ、そうだ!」  王命であることは、レオナールも理解しているはずだ。  それでも感情が抑えられないのか、腹立たしげに床を蹴った。 「くそッ……貴様が婚約者などと、考えるだけで虫唾が走るッ!」  吐き捨てるレオナールの隣で、静かに控えていた従
last updateLast Updated : 2025-06-02
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第4話 ささやかな抵抗
 レオナールは苛立った仕草で杯を煽った。 「オレほど不幸な男は、大陸中を探しても他にいない! そうだろ?」 「ええ。誠に痛ましいことです」  従者は悲しむような声で同意し、レオナールに囁いた。 「レオナール様の御名を傷つけた者に、罰を与えるべきでは?」 「罰?」 「はい。アレはレオナール様の所有物です。レオナール様がどのように扱おうと構わぬ玩具ではありませんか」  従者は下卑た笑みを浮かべ、エマを見下ろした。  それに気を良くしたのか、レオナールが唇を歪める。 「そうだな。平民の分際でオレを笑い者にした罰は、受けてもらうぞ」 「ひッ……」  嫌らしく笑うレオナールに、エマは肩を震わせた。  鎮静剤も与えられず、悶え苦しんでいるのに、さらに苦痛を与えようというのだ。  危険を察したエマは、逃げようとベッドの上をずり上がる。  だが、エマにできる抵抗など、ささやかなものだ。 「貴様がどれほど卑しい存在か、分からせてやる」  レオナールの合図に、従者がベッドに近づく。 「ゃッ、こ、こないで……っ」  従者は顔色一つ変えず、怯えるエマからシーツを剥ぎ取った。 「ァァッ! ゃッ……はぁぁっ」  隠れていた下半身が、男達の前に晒される。  半勃ちの雄からは蜜があふれ、股間はドロドロに濡れている。  エマは必死で夜着の裾を引っ張って隠そうとしたが、レオナールの叱責が飛んだ。 「その醜い体を、自分でもよく見て覚えておけ」 「殿下が、汚らわしいオメガを見物して下さると言うのだ。もっと足を開いてお見せしろ」 「あぁぁっ!」  従者は乱暴な手つきでエマの足首を掴み、大きく開かせた。 「ひゃぁッ、ッ、ぁぁ……!」  レオナールに向かって、股間を晒す形になり、エマは羞恥で顔を背ける。  いくら発情しているとはいえ、軽蔑してくる相手に淫らな姿を晒すなんて、耐えがたい屈辱だった。 「はぁんっ、ぁっ……ァァッ」  腕で顔を覆いながら、唇を噛みしめる。  レオナールは杯を揺らしながら、ゆったりと椅子にもたれかかり、わざとらしく嘲笑した。 「見ろ、この下劣な盛(さか)り具合を」 「ええ。男と見れば、すぐ勃起してよだれを垂らす。さすが平民は違います」 「ハハッ。お前の言うとおりだな。穴はどうだ?」
last updateLast Updated : 2025-06-02
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第5話 屈辱
「物欲しそうにヒクついて、下品な液を滴らせています。レオナール様に抱いて頂けると、勘違いしているのではないでしょうか」  嘲るような従者の言葉に、エマの肩が跳ねる。  侮蔑的な目で股間をジロジロと眺められ、言葉で貶され、エマは自尊心は深く傷ついていた。  けれど、快楽の熱に苦しむエマには、なすすべがない。 「ぁんッ……ぅぅッ」  襲ってくる疼きに、エマは自らの雄を高めようとした。しかし、嘲りの言葉をぶつける男達の前で、これ以上の醜態は晒したくない。  伸ばそうとした手を、グッと握り締める。 「はぁッ……はぁ、はぁぁっ」 「どうした? イきたいんじゃないのか?」  エマの様子に気付いたレオナールが、愉快そうに笑う。 「オメガの発情(ヒート)は、苦しそうだな。体が疼いてたまらないのだろう?」 「ぁ、……っ」 「どのように慰めるのか、見せてみろ」  自慰をしろと命じられ、エマは震えながら顔を伏せる。  頷かないエマに、レオナールが声を低くした。 「やれ」 「……」 「レオナール様の命が聞けないのか!」  従者が叱責し、エマに怒鳴る。 「卑しいオメガが、レオナール様の御前を許されているのだ。早くイって見せろ!」 「ぁッ……んんっ」  かすかに首を振って抵抗を示すと、従者がエマの髪を乱暴に掴んだ。 「ぁぁっ!」 「命令が聞けぬなら、お前の侍女が折檻を受けるぞ」 「ッ!?」  従者の脅しに、ハッと目を見開く。  エマの侍女は、幼い頃から仕えてくれている、姉のような存在だ。レオナールに目を付けられたら、酷い目に遭うかもしれない。 「……わ、分かりましたっ」  消え入るような声で答え、エマは目をつむる。  男達を視界から消して、昂ぶった半身をそっと握りしめた。 「はぁぁんっ、ァァ……んぁぁッ」  長く疼きに耐えていた躰は、刺激に敏感になっていた。  エマが軽く扱いただけで固く張り詰め、あっという間に絶頂へ達する。 「あぁぁーーッ!」  ドプッと精が放たれ、エマの手を濡らす。  達した開放感などなく、屈辱で涙をこぼした。  侮辱してくる男達の前で股間を晒し、自慰を強要され、エマのプライドはズタズタにされる。 (ぅぅッ……こんな人達の前で、イクなんて!)  悔しさのあまり唇を噛みしめるが、すぐに嘲笑が響く。
last updateLast Updated : 2025-06-02
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第6話 ディルド
    レオナールに命じられ、エマは何度も己を慰めた。  イクたびに疼きはおさまるが、昂ぶりを扱くと、また疼きが強くなる。 「あぁんッ、……ンンッ」 「手を止めるな。部屋の外にも聞こえるように、声を出してイけ」 「ひぅッ……、ぁんっ、ぁ、アァァーッ!」  命じられるままに、半身を擦り、喘ぎながら達する。  エマにはもう、抵抗する気力など残っていなかった。  躰を苛む疼きから、解放されたい。  理性を焼くような快楽の熱を静めたい。  レオナールの命令に従えば、ひとときの間は、疼きを静めることができた。 「んぁッ、ぁっ、ァァ」  だが、アルファを受け入れる為の蕾が、ジクジクと疼いてたまらない。  気がつくと、エマは蕾に自らの指を突き入れ、必死に動かしながら片方の手で雄を扱いていた。 「んッ……ぅあっ、ああ……んっ、やっ……ぁ、ぁぁんっ……!」  夢中になって指を動かすと、レオナールが愉快そうに笑った。 「おい、見てみろ。淫乱が本性を現したぞ」 「卑しいオメガですから」  嘲笑する声に、エマは顔を背けた。  違うと言いたいのに、快楽を追うことを止められない。 「そうだ。淫乱に相応しいモノがあったな」 「はい、レオナール様」  レオナールに命じられた従者が、またエマの側にやってきた。  軋むベッドの上で苦しげに悶えるエマを見下ろし、鼻で笑う。 「まったく、下品なオメガだ。レオナール様の慈悲を与えられる光栄に、むせび泣いて感謝しろ」  そう言って、ベッドに棒のようなモノを放り投げた。 「ッ、こ、これは……?」  初めてみる道具に戸惑っていると、従者が呆れた声で説明する。 「淫乱が純情ぶる気か? その淫らな穴には、ディルドで十分だろう」 「ぁッ……」  おそるおそる手に取ると、男性器を模した太い棒であることが分かる。  柔らかな感触に安心したが、この太さの棒を蕾に挿れるのだと言われ、恐ろしさに震えた。
last updateLast Updated : 2025-06-08
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第7話 涙
   「オメガの発情を煽る香を焚き、ペニスを戒めて射精をコントロールするのです。そうすれば、レオナール様に服従します」 「それも面白そうだが……このような下品なメス犬を飼ったところで、オレに利はあるのか?」 「もちろんです。レオナール様」  従者が醜悪な笑みを浮かべながら答えた。 「特別なお客様へを招き、見世物として披露なされば良いのです」 「おお! それはいい!」  レオナールの顔が輝いた。  上機嫌な顔で杯を煽り、ニヤニヤと笑う。 「帝国には、このレベルのオメガは滅多にいないと聞くからな」 「仰る通りです。『聖樹』は我が国の特権ですから。皆が崇める『聖樹』を檻に入れ、淫らに喘ぐ姿を観賞できるとなれば、大金をはずむでしょう」 「ああ。どこの国にも、そういう趣向の奴はいる」  レオナールは愉快そうに笑い、エマを見下ろす。 「いずれ婚約破棄した後に、適当な罪を押しつけ、そのうえで引き取れば、オレの評判も上がる」 「さようでございます。実行には少し時間がかかりますが……罪を犯した元『聖樹』にさえ慈悲を与える王族として、レオナール様は民に称えられるでしょう」 「そしてオレは、賞賛と、帝国への強力なカードを手に入れる。そうだな?」 「はい、レオナール様。コレが卑しい平民であろうと、他国の者には分かりませんから、『聖樹』としての価値は問題ありません」 「お前の案、気に入ったぞ」 「ありがとうございます」  従者が恭しく頭を下げる。  レオナールは満足げに頷き、また酒をあおった。 「ッ……ぁっ」  エマはディルドを握る手を止め、二人の会話に戦慄していた。 (殿下は、私を婚約者どころか……同じ人間とすら思っていない)  平民として暮らしていた幼い頃さえ、このように酷い扱いを受けたことはなかった。 「おい、手が止まってるぞ?」  エマの様子に気付いたレオナールが、酒に赤らむ顔で咎める。 「メス犬のくせに、生意気な目だっ」 「レオナール
last updateLast Updated : 2025-06-09
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第8話 ブドウ
    ベッドから起き上がれないエマの為に、ナタリナは水差しを持ってきて、少しずつ飲ませてくれた。  カラカラになった喉が潤って、ようやく息も落ちついてくる。  クッションをいくつも重ねて背もたれにし、ベッドに座らせると、新しいシーツを出してエマの体を隠すように覆った。 「エマ様のお好きなブドウです。さあ、どうぞ」  小皿に並べた冷たい白ブドウを、一粒つまんで、エマの唇に差し出す。  太陽をいっぱいに浴びたブドウは、ツヤツヤとした黄金色だ。 「……ん」  薄く口を開き、ブドウを舌で転がして、ゆっくり噛みしめる。  柔らかな甘みが口に広がり、体の中に染み渡っていく。  エマが頬を緩めると、ナタリナが嬉しそうに微笑んだ。  一粒、また一粒と、エマの小さな唇に差し出す。  そうして房の半分ほどを食べおえると、指先に力が戻ってきて、腕も動かせるようになった。 「お一人で食べられますか?」 「うん」  エマが頷くと、ナタリナは小皿を手渡した。  ゆっくりした動作でブドウを食べている間に、ナタリナは洗面器にお湯を張り、柔らかな布を浸して温めると、それを絞ってエマの体を拭き始めた。  汗にぬれた顔を丁寧に拭き、首から胸、お腹から下半身へと、何度もお湯で布を洗いながら、エマの体を綺麗にしていく。  ナタリナはエマの汚れを一つずつ落としながら、悲痛の面持ちで口を開いた。 「エマ様。先ほどはお守りできず、申し訳ありませんでした……」 「ううん。ナタリナが何もされなくてよかった」  悲壮な顔をしているナタリナに、エマは微笑む。  ナタリナは、レオナールの命令で部屋から追い出されたのだ。逆らえば、どんな処罰を受けるか分からない。 「エマ様。もう決して、お側を離れませんのでご安心くださいッ。二度と、エマ様へ手出しはさせませんから!」  決意を固めた表情に、エマは首を横に振った。 「王子に逆らったらダメだよ、ナタリナ。どんな報復を受けるか分からない」 「私はエマ様の
last updateLast Updated : 2025-06-10
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第9話 尊い『聖樹』
   「恋人がいると聞きました。公爵令嬢のカミラ様とはずいぶん前から親密で、いずれは側妃に召し上げるという噂が出回っているようです」 「公爵家のカミラ令嬢といえば、アルファで、僕と同い年だったよね?」 「はい。カミラ様は社交の場でも、『王族が聖樹との結婚を強制されるのはおかしい』と、度々こぼしていたそうですよ」 「そうなんだ?」  カミラ嬢は、かなり度胸のある女性のようだ。  公爵家という後ろ盾があるからこその発言だろうけど、王家の制度に疑問を呈するのは、下手すれば不敬罪にもなる。 「僕も、そのしきたりはおかしいとは思ってるけど……」 「ええ。私もそう思います。カミラ様はあの男と結婚したくてそのように申したのでしょう。強気な態度に出るのは、公爵令嬢だからと驕っている証拠です」  ナタリナは皮肉な口調でそう言った。  エマは、カミラ嬢の勇気をすごいと思う。けど、ナタリナは言えないので、違うことを口にした。 「僕と王子の婚約は、王命だから……結婚したくないっていうのは、やっぱりムリだよね」 「いえ。それがそうでもないのですよ」 「?」 「エマ様はご存じの通り、我が国では、王族は『聖樹』と婚約するしきたりです。婚約後にアルファが生まれた時点で、結婚しますよね」 「うん」 「その婚約ですが、実は制約があるんです。一年の間に『聖樹』が一度も妊娠しなければ、王族から婚約破棄できるのですよ」 「そうなの?」 「ええ。あの男はカミラ様と結婚したいがために、エマ様に手を出さず、一年後に追い出すつもりなのですよ」  ナタリナの言葉で、ようやくレオナールの言動が腑に落ちる。  たしか「婚約を破棄したら」と言っていたのだ。  だけど、オメガが番のアルファとの間に子ができないとなれば、不妊の烙印を押される。「アルファを産めないオメガ」は『聖樹』の名も地位も追われるだろう。 「ぁっ……そう言えば、僕に罪を押しつけるって、言ってた……」 「まあ! エマ様を陥れようなどと、許せませんッ!」
last updateLast Updated : 2025-06-11
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