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第76話

Author: 風羽
これが彼女の条件だった。藤堂沢にはっきりと伝えておく必要があった。

愛情がないのなら、現実的な話をしなければならない。彼が自分を妻として欲しいのなら......自分もそれ相応の見返りを求める。

藤堂沢ほどの男が、彼女の変化に気づかないはずがない。

九条薫は少女から大人の女性へと変貌していたのだ!

彼女は我慢することを覚え、男と交渉する術を身につけた。もう彼の愛情を期待せず、現実的に考えるようになっていた。

藤堂沢は現実的な人間を好んでいた。

黒木智の妹、黒木瞳のようなタイプだ。かつて、彼は自分の妻はそんなしっかりした女性になるだろうと思っていた。しかし、結局結婚したのは、繊細でか弱い九条薫だった。

しかし今、九条薫が現実的になったことで、彼は何か居心地の悪さを感じていた。

彼は不快感を覚え。

指を立てて冷笑した。「藤堂奥様も、随分と交渉上手になったな」

九条薫は静かに続けた。「まだ条件があるわ。沢、あなたや田中秘書からお金をもらうのはもう嫌。私は藤堂グループの2%の株が欲しい」

藤堂沢は驚いた。

彼は眉を上げ、冷笑した。「藤堂グループの2%がどれだけの価値か分かっているのか?控えめに見積もっても1000億円はあるぞ。藤堂奥様......少し欲張りすぎではないか?」

九条薫はうつむいて微笑んだ。

そして、彼を見上げて言った。「沢、あなたみたいな人といたら、馬鹿でも賢くなるわ。あなたが私を愛していようがいまいが、私は藤堂家の奥様よ。あなたの財産を使う権利がある。それに......あなたが離婚してくれないのは、私が他の男と寝るのを恐れているからでしょう?あなたのプライドを守るための代償としては、妥当な金額だと思うわ。あなたが私の体に飽きたら、私は株を持って出ていく。それで、お互い幸せになれるんじゃない?それに、2%の株では、何もできないわ」

藤堂沢はソファに深く腰掛けた。

彼は冷ややかに彼女を見つめ、しばらくして、ジャケットのポケットからベルベットの箱を取り出した。

九条薫はそれが自分の結婚指輪だと気づいた。

藤堂沢は箱を弄びながら、面白そうに言った。「藤堂奥様、俺はお前に説得されたようだ。だが、俺にも条件がある。2%の株は売却禁止だ」

九条薫は同意した。

彼女が欲しかったのは、配当金だけだった......

藤堂沢は箱を開けた。中
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