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116 悪い予感がする

Author: 栗栖蛍
last update Last Updated: 2025-09-08 07:28:34

 大雨の降る中、人通りの多い道を選んで駅へ向かう。

 今日の待ち合わせは、彼の住む町だ。

 最寄りの有玖あるく駅まで一駅分の切符を買って電車に乗ると、あっという間にそこへ着いた。駅の周りを囲うように新しいマンションが立ち並んでいて、その奥に住宅街が広がっている。広井町のベッドタウンらしく、駅の階段には分譲マンションの広告が幾つも貼られていた。

 ここが彼の住む町だと思うと、嬉しくてたまらなくなる。芙美と一緒に駅へ下りた人も多く、寂しいなんて気持ちにはならなかった。

 バスのロータリーの向こうに待ち合わせのコンビニを見つけて、芙美は濡れた傘を開く。早足で向かうと、雑誌コーナーにいた湊がこちらに気付いて店から出てきた。彼は芙美の前に駆け寄ると、心配顔からの安堵を広げて「良かった」と目を細める。

「思ったより平気だったよ。克服……できたのかな?」

「それは気が早いんじゃないのか? けど、お疲れ様」

 子供のおつかいみたいだと笑う芙美に、湊が空いた手を握り締める。

 少し震えていたことに気付かれて、彼の手に力が籠った。

   ☆

 雨への不安は杞憂だったらしい。心配して芙美にメールを送ると、昼近くになってから「平気だよ」と返事が来た。添付された写真には、これから二人で食べるというハンバーガーが写っている。

「コレじゃなくて、顔を写せよ」

 とりあえずは無事という事にホッとして、咲はタオルでぐしゃぐしゃと髪を拭いた。

 朝、姉の凜にといてもらってフワフワだった髪が台無しだ。そもそも雨の部活にヘアセットなど無駄以外のなにものでもないが、「男の子と一緒なんでしょ?」と詰めて来る姉から逃げる事ができなかった。

 男とは言え相手は智なのだから、咲は寝起きのままの状態だって問題ないと思っている。

 さっき荷物の所まで下りてきて躊躇いなく服を脱ごうとしたのを、「ヤメロ」と智にテントへ押し込まれた。仕方なく中で着替えたけれど、荷物置き程度のスペースは窮屈で、服がずっとよじれている気がする。

 この間雨が降った時、そのまま帰って風邪をひきそうになったのを教訓に、今日はちゃんと着替えを持ってきているが、今日はあの時より大分寒い。ブルブルと肩を震わせると、智が「急ごう」と足を速めた。

 雨の部活は智と二人きりだった。

 中條から言われたルーティンを終えて、その後剣の稽古もしてみた。智と一
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  • いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?   115 この部屋

    「お兄ちゃん、この部屋に咲ちゃんを入れるつもり?」 帰宅して真っ先に、芙美は蓮の部屋へ向かった。ここしばらく入っていなかったけれど、改めて見ても恋人を迎え入れる男子の部屋としては難易度が高い気がする。 帰りの電車で募ったお泊り会への不安を本人に吐き出す。「いいの? 本当に咲ちゃんに見せてもいいの?」 部屋の奥から流れてくるBGMは、蓮の好きなゲームのサウンドトラックだ。旅立ちの町で流れている緩いメロディが、芙美の心理を反映するように戦闘シーンの激しい曲へ変わった。「そんなに騒ぐなよ。だからギリギリまで言うなって咲に言ったんだ」 開け放たれた扉の向こうには、同じ家の中とは思えないド派手な彼の世界が広がっている。「湊くんも泊まりに来るって言ってたよ? 湊くんにまで見られたら……」「メガネくんは俺の彼氏でも彼女でもないだろ? お前が自分の部屋を片付けとけばいいだけの話だ。そんなだから咲がお前に気ぃ使うんだよ。大体メガネくんなら、この間お前が倒れた時にこの部屋見てると思うぞ?」「えぇ? あの時入れたの? ここに?」「帰るって向こうが挨拶しに来ただけだよ」「そんな律儀な事しなくていいのに……」「俺はお前の兄貴なんだぞ? そのくらい普通だろ」 蓮は不愉快だと言わんばかりの顔をして、自分の部屋を振り返った。「っていうか、そんなに言う程の部屋じゃないだろ。ちゃんとゴミは捨ててるぞ? ちょっと物が多いだけだよ」「ゴミなんて当たり前でしょ? 本気でこのままにしておくの?」 この間のお泊り会の時も、蓮は部屋の掃除をするばかりで物の移動をした様子はなかった。あの日咲がそこに入ることはなかったけれど、今度はそうはいかないだろう。「いいか芙美。俺の部屋を否定する様なヤツを、俺は彼女にしてるつもりはないからな」「見たら嫌がるコの方が多いって言ってるの!」「そんなのは偏見だ。いいか、男の趣味は深いんだ。迂闊に外でそんなこと言ったら、男を敵に回すだけだぞ?」 かつて兄だったヒルスの部屋は雑然としていた。特にこだわりもないシンプルな部屋だっただけに、蓮との差がありすぎる。「お前がメガネくんの部屋に行って、美少女キャラの抱き枕でも転がってたらどうするんだよ。キモイって言って別れるのか?」「いや、絶対ないよ! 持ってるわけないでしょ?」 もう絶対にだ。そのカ

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     祝日の部活はやっぱり晴れていた。 ハードルを三往復こなし、疲れ果てた身体で木登りをしたところで、広場に珍しい人物が現れる。「ルーシャ?」 芙美は木から慎重に下りて、背の高さほどの位置から地面へジャンプした。短期間でここまでこれたのは、リーナが身につけていた潜在的な感覚のお陰だと思う。リーナのできていたことが少しずつできるようになっていくのは、楽しくて仕方がない。 予告なしに坂を上って来る絢は、この部活動の『副顧問』だと昨日中條に言われた。 けれどその肩書にも、山の風景にも似つかわしくない黒のチャイナドレス姿の彼女は、映画に出てくるマフィアの女のようだ。その場違いな風貌に、四人は不信感を募らせる。「何だよ、あれは」 深く入ったスリットから覗く生足を睨みつけて、咲が皆の気持ちを代弁するように呟いた。 智は強調された胸に視線を置きながら、今更ながらに、「ルーシャの胸って、あんなに大きくなかったよね」 と、触れてはならない事を普通のトーンで話してくる。 芙美が慌てて「駄目だよ」と注意するが、今度は咲が面白がって悪戯な笑みを浮かべた。「あれは魔法が起こした奇跡みたいなものだからな。飼い主が巨乳の猫好きなんじゃないか?」「えっ、猫?」 彼女が何を言っているのか、芙美には分からない。 けれどその説明を聞く前に、絢がすぐそこまで来て足を止めた。キッと睨んだ視線に、四人は口をつぐむ。「私の悪口でも言ってたのかしら? ちょっと話があるから私語は慎みなさい」 絢は巨大な胸元に縫いつけられた赤いバラの刺繍を撫でて、腕にぶら下げた紙袋からプリントを取り出して四人へ配った。「合宿……ですか?」 『冬合宿のお知らせ』という意外な表題に芙美が尋ねると、湊が「あぁ」と納得したように呟いて、横から日付の欄を指差して来た。 11月30日──ハロン襲来予定日の前日で、期間は12月3日までの3泊4日だ。「これが、部活を始めたもう一つの理由みたいよ。12月1日は、うちの学校創立記念日で休みでしょ? ついでに翌日も連休にしてあるから、心置きなくハロンと戦えるって事よ」 戦う為、数日家を空ける為の口実だ。有難いと思うのと同時に、いよいよだという緊張が走る。「まぁこの間出た黒い奴みたいに日付がズレたら困るんだけど、それは祈るしかないわね。あとはその四日でケリをつける

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