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第381話
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今さら私を愛しているなんてもう遅い 第415話
雪乃が提供した手がかりを得て、博人はすぐに人手を手配し、拓真が姿を見せた付近に人員を配置した。彼は未央に会いに行き、この良い知らせを伝えたいと思っていた。拓真を見つけさえすれば、彼女と理玖はもう恐れる必要がなく、彼ら家族四人はようやく幸せな日々を送れるはずだった。ここまで考えると、博人は深く息を吐いた。感謝を示すため、自ら雪乃を家まで送ってあげた。それから一刻も休まず未央の病院へ向かった。この時間なら、未央はあちらで仕事をしているはずだ。彼は遊園地に行ったあの日が本当に用事があったということを説明するのが待ちきれなかった。博人は素早く車のドアを開け、アクセルを踏んだ。車を出した途端に、見知らぬ電話がかかってきた。相手はかすれた声でこう言った。「西嶋博人、久しぶりだな。俺を覚えているか？」この声は、まさに木村拓真本人だった！博人は拳を握りしめ、額に青い血管が浮かんだ。「お前はやっぱり死んでなかったのか。よくも俺に電話する度胸があるな。今すぐ警察に通報して逮捕されるのが怖くないのか？」「はははは」拓真は大声で笑った。笑い終わると、ようやく口を開いて低い声で言った。「お前、相変わらず愚かだな。俺がお前に電話する以上、十分な切り札を持っているということだ。誰が俺の切り札なのか、当ててみろよ？」この言葉に、博人の心は奈落の底へ落とされてしまった。「未央？未央がお前のところにいるのか！」博人は怒鳴りした。拓真は笑いながら、手を伸ばして未央の口に入れた黒い布を外し、髪を強く引っ張って後ろへ引きずった。「口を開け、旦那が待っているぞ！なんか話せ！」未央は怒りの炎に燃えた目で彼を睨みつけ、歯を噛みしめて一声も発しようとしなかった。しかし博人に推測できないはずがない。電話の向こうにいるのは彼の未央だ。この野郎が本当に未央を誘拐したのだ！畜生！博人はハンドルを一拳で殴りつけ、額には青い血管が浮かんでいた。真っ黒な瞳に寒い風が吹き出し嵐が渦巻いた。まるで全てを飲み込むほど危険な目をしていた。「お前は何がしたいんだ、俺に向かってこい、彼女を放せ！」拓真はこの感覚をとても楽しんでいるようで、しばらく目を細めて浸っていると、再び未央の口を塞いだ。「俺は金が欲しいんだ。明日の昼12時までに、お前が自ら十億の
今さら私を愛しているなんてもう遅い 第414話
あの白鳥未央のクソ女がすぐに誘拐され、彼らの生活から完全に消え去ろうとしているというのに。博人は相変わらず彼女のことが心配でたまらず、自分に対してこれほど冷淡なのだ。彼女の心には一本の針が刺さっているようで、思い出すたびにズキズキと痛みが走る。「博人、高橋さんは何といっても男なの、あなたの面倒をちゃんと見られないわ。これからはあなたの昼食と夕食を私に任せてちょうだい」彼女は耳の後ろの髪をかき上げ、照れくさそうに笑った。その言葉にかすかな期待も込められていた。しかし博人は微動だにせず、拓真を見つけられない焦燥感に駆られていた。彼は目の前の雪乃を無視し、眉をひそめて高橋に電話をかけた。「まだ情報はないのか？」「西嶋社長、ありました！」高橋の興奮した声が電話の向こうから聞こえ、雪乃の耳に入った。彼女の心臓は一瞬止まったかのように、背中に冷たい感覚が走った。彼女は今、あの謎な人物がおそらく拓真であると確信していた。今博人が拓真のことを調査している最中、もし自分が疑われたら、全てが終わってしまう！このことを考えると、雪乃は慌てて博人の袖を引っ張り、無理に笑顔を作った。「博人、あなたは木村拓真の行方を探してるの？」博人はさっき電話をする時、彼女を避けていなかったため、隠すつもりもなく低い声で返事した。しかし彼はすぐに、雪乃の様子がおかしいことに気づいた。「どうした？」雪乃は無理やりに笑顔を浮かべ、軽く首を左右に振り、言いづらそうな様子を見せた。「わ、私はただあなたに話したいことがあるんだけど、どう切り出せばいいか分からなくて。博人、私は知っているわ。白鳥さんはずっと私に大きな誤解を持っていて、あなたと私の間がそういった関係を持ってると思っているでしょう。でも私は本当にあなたを誘惑しようとしたわけじゃない。彼女と対抗しようとすることも考えてもみなかったの」彼女の声はとても小さくて、とても辛そうな感じすらあった。まるでずっと全てを黙って耐えて来たかのようだった。博人は眉をひそめ、彼女に考えすぎないように伝えようとした。しかし次の瞬間、聞こえてきたのは。「博人、もしあなたが木村拓真を探しているなら、私が力になれるかもしれない。数日前、突然見知らぬ電話がかけてきたの。白鳥さんを永遠に私たちの前から消
今さら私を愛しているなんてもう遅い 第413話
「裏で操作しているのは誰か、分かったか」電話の向こうはしばし沈黙した後、黒幕の名を告げるどころか、逆に別の不幸な知らせを伝えてきた。拓真は額に青い血管が浮かび、鼓動はドクドクと速くなった。深く息を吸い、必死に冷静さを保とうとしていた。なぜなら、さっきの電話の相手は、博人がすでに彼の存在を発見し、現在追跡中だという内容だったからだ。だが彼はまだ白鳥未央のクソ女に手を出していないというのに！拓真はかなり焦って、居ても立っても居られなくなりその場をぐるぐると回っていた。廃れた地下室を行った来たりして、次の对策を考えていた。今、彼が機に乗じて新興製薬を買収する計画は完全に失敗し、さらに博人にマークされる可能性さえあった。最も重要なのは、彼の手には博人を脅迫できる材料が何もないことだ！拓真は足を止め、目の底に危ない光を宿した。「お前たちが俺を追い詰めたせいだぞ！」彼は素早く携帯を取り出し、雪乃にメッセージをし、未央の最近の情報を要求した。一方、雪乃はずっと待っていた。前にすでに一度送ったのに、まだ未央が遭難したという知らせが一切聞かれず、彼女は少し焦っていた。再び謎の相手からメッセージを受け、彼女は歯を食いしばり、心を決めて、再び未央の住所を送信した。拓真は住所を受け取ると、すぐに準備をした。目立たない服に着替え、マスクを付け、拳銃を慎重に懷中に入れておいた。「西嶋博人、白鳥未央、毎回神が必ずお前たちに微笑むとは思うなよ！」彼は未央を拉致するつもりだ！愚か者の博人の一番の弱点はこの女だ。未央を使ってようやく彼を脅迫することができるから、多くのお金と引き換えに海外へ逃亡できる。西嶋グループなど、もう要らない翌朝、未央はいつも通りに起き、まず朝食を作って理玖が食べ終わるのを見てから、学校まで送った。別れる時、理玖は彼女の袖を引っ張り、潤んだ大きな目で彼女に甘えた。「ママ、今日も迎えに来てくれる？」ママはとても忙しい。普段迎えに来るのはいつもおじいちゃんなのだ。でも彼はママがいいのだ！未央は一瞬ポカンとし、すぐにしゃがみ込んで目が熱くなり、泣きそうな声で言った。「うん、これからママが每日迎えに来るね」「やった！」理玖はぴょんぴょん飛び跳ねながら彼女の頬にキスをし、ようやく手を振って学校に入っ
今さら私を愛しているなんてもう遅い 第412話
「何だと？」宗一郎はその場で拒否し、理解できない様子で怒り出して彼女を睨んだ。「未央、頭おかしくなったんじゃないのか？これらは全部不動産だぞ？銀行に抵当に入れるために使えって言うのか？ただ株を買い集めるためだけに？目的はなんだ？何より、あの男はもう死んだんだぞ！」未央は父がそう簡単には信じないと知っていたため、素早く自分が気づいたことを一通り説明した。宗一郎は沈黙した。「つまり、木村の奴は死んでおらず、この株を買い集めている謎の勢力は、彼が黒幕で操作しているって？」「ええ」未央は頷き、冷たい表情をしていた。「彼はきっと暗闇で大きな罠を仕掛けていたの。今の状況は私たちに不利。彼が理玖に手を出すのを防ぐために、私たちは彼を追い詰めて出現させなければならない！」そして会社の株を買い集めることが、今の最良の方法なのだ。こうすれば、拓真はきっと我慢できず、早々に現れるだろう。宗一郎は深く息を吸った。まだ信じたがらない様子だったが、これは娘と孫の安全に関わることで、決して軽く見過ごすことなどできない。もし拓真が生きているなら、彼は必ず復讐してくるはずだ！だから、彼に選択肢はなかった。宗一郎は即座に決心をした。「今すぐ行くぞ。この件はお前一人でやらせるわけにはいかん。私の名義にもいくつかの屋敷がある。その時は一緒に抵当に入れよう」未央は仕方なく笑った。「お父さん、そんなに真剣にならなくていいよ。私ので十分だから。あなたのお金は老後のために取っておいて」銀行は今まだ開いているので、宗一郎は全ての書類を持ち、直接出かけた。夕食を済ませると、未央はパソコンで株式市場を見ていた。新興製薬の株が再び上昇したのを確認すると、ようやく笑顔を見せた。彼女が求めていたのはまさにこの効果だった。拓真がこの機に乗じて安い価格で株を買い集め、また会社を再び手に収めようとするなら、彼女はあえてそれに対抗してやるのだ。競争が始まれば、株価は急速に上がるだろう。そうしたら、拓真の計算は狂ってしまうわけだ。この日、多くの投資家にとって奇妙な一日だった。彼らは結構前から新興製薬の株を購入しており、いっぱい稼ごうと考えていたが、会社の社長が突然亡くなってしまった。舵を取る存在がいなくなると、会社全体がすぐにカオス状態になってしまった。
今さら私を愛しているなんてもう遅い 第411話
「ママ、お家に帰ろう！」二人が車に乗ると、理玖はとてもお利口さんのように自分で小さなランドセルをおろし、しっかりとシートベルトを締めた。未央は少し上の空のようだった。彼女はまだ拓真のことを考えていたのだ。拓真が死なない限り、それは常に爆弾がどこかに埋まっているようで、いつ突然現れて爆発するか分からない。今、敵は暗闇に潜んでいて、自分が明るい場所でいつでも狙われる状態だった。問題を解決する最も簡単な方法は、相手を追い詰めて出現させることだ！未央は考えをまとめると、すぐに瑠莉に電話をかけた。この時、瑠莉はどうやら買い物をしているらしく、電話の向こうは騒がしかった。彼女は笑いながら尋ねた。「未央、どうしたの？私に会いたくなった？」未央は振り返って周りを一目で確認し、早口に言った。「瑠莉、手伝ってほしいことがあるの！木村拓真が死んでいないかもしれない。数日前、浜橋埠頭で彼の姿を見た人がいるそうよ。あの数日埠頭を出入りした人を調べてくれる？彼がそこにいたかどうか確認してほしいの」その名前を聞くと、瑠莉はすぐに真剣な顔つきになった。「未央、冗談でしょう？あの時みんなは彼が海に落ちるのを見たんだよね？命が助かっているなんてあり得えないでしょ？」未央はため息をつき、自分の推測を話した。瑠莉はポカンとしていて、すぐに自分が必ず手伝うと保証した。未央はこれでようやく少し安堵した。車を地下駐車場に止め、未央は息子の手を引いて家に帰った。玄関の前で待っている時、突然部屋から宗一郎の声が聞こえてきた。彼は新興製薬について話していた。未央は足を止めて耳を傾けた。どうやら最近、謎の勢力が新興製薬の株を安い価格で買い集めているらしい。それは拓真の会社だ！彼が自らの死を偽装した後、会社の株価は常に不安定だった。今突然現れた謎の勢力が、どう見てもおかしい。未央はまた深く考え始めた。もし拓真が死んでいないなら、今株を買い集めている謎の勢力はおそらく彼自身だろう。この機に乗じて安い価格で株を買い集め、当たり前のようにまた会社を支配するつもりだ！とんでもない大きな罠なのだ！未央は心の中で冷たく笑い、既に対策を考えていた。彼女は理玖の肩をポンポンと叩いた。「理玖、ママは用事があっておじいちゃんと少し話すから、先
今さら私を愛しているなんてもう遅い 第410話
この言葉を聞いた彼はさらに恥ずかしさに堪えられず、自分の先生に顔を向けることさえできなかった。「俺は今、どうすればいいと思いますか？」未央はため息をついた。彼の不安の根源は、自分の内心に向き合えないことにある。しかし実際は勉にはまだ良心があり、ただ一時の貪欲に抵抗できなかっただけだ。「あなたは今、先生としっかり話し合うべきだと思います。先生が心を込めてあなたを育ててきたからこそ、あなたの未来を壊したくなかったのでしょう。将来どんな選択をしようとも、先生の思い遣りを無駄にしないでください。話し合った後、あなたの心が答えを教えてくれるでしょう」未央が簡単に少し言葉をかけると、勉ははっと悟り、急いで立ち上がり、丁寧にお辞儀をした。「白鳥先生、さっきは偉そうな態度を取ってすみませんでした。年配の先生だけがプロだと思い込んでいましたが……本当は能力は年齢に関係ないと分かってきました」「いいえ、これが私の仕事ですから」未央は気に留めなかった。彼女は絵にはあまり詳しくないが、これらの鮮やかな色彩がとても好きだった。「よければ、ここでもう少し見ていてもいいですか？」「もちろんです」勉の態度はさっきよりずっと良くなっていた。おそらく心のわだかまりが解けようとしているからだろう、彼の雰囲気がずっと優しくなっていた。未央はこれらの絵を鑑賞していると、昼夜問わず創作に励む若者の姿が見えるようだった。彼は汗を流して、これらの絵を描き上げてきた。勉には確かに才能がある。ただ忍耐が足りなかっただけだ。もしもう数年時間を与えれば、きっと堂々と美術界の金賞を得られるだろう。未央は心でこっそりとそう考えて、突然一枚の絵に視線を奪われた。それは一人の男性の後ろ姿で、非常に寂しげに描かれており、おそらく相手の悲痛な感情を表現しているものだ。しかし、重点はそこではなかった。「この絵は、写実ですか？」勉は先生に電話しようとしていたが、それを聞いて頷いた。「たしか浜橋埠頭あたりでスケッチしたものだと思います」浜橋埠頭？未央は信じられないように目を見開き、突然焦りだした。この後ろ姿は、まさに木村拓真そのものだ！しかし、彼女は拓真が海に落ちるのをこの目で見たはず。まさか彼は死んでいなかったのか。未央は深く息を吸い、再
