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第10話 専務

last update 最終更新日: 2025-08-28 08:24:28

土曜日営業のスタッフ募集について、

「五十嵐さんも調理師にチャレンジする?」と専務に聞かれたが、

「私は、このままで十分でございますので」とお断りした。

そして、魚崎さんをお見送りして、ココで別れた。

あとは、次の会議の日に会う。

「では、私たちもそろそろ」と言うと、

「うん、そうだな」と言いながら、なかなか椅子から立ち上がろうとしない専務。

「どうかされましたか?」と言うと、

「涼だけズルい!」とおっしゃる。

「!? 何がですか?」と聞くと、

「涼だけ、五十嵐さんとハグした!」と……

「!!……」

──何言ってんだ? この人は……

「専務、ビール1杯で酔われたのですか?」と聞くと、

「酔ってないよ! 俺も五十嵐さんとハグしたかった」と……

──酔ってるな! 私が上手く躱したから拗ねているのか? そもそも、なぜ私が専務とハグしなきゃならないのよ?

「しよう! ハグ」と言った。

「……専務!」

「ん?」

「セクハラです!」と言うと、

「え──────!」と困った顔をしながら言っている。

──当たり前でしょう?

「不同意のものは、全てセクハラです! なんなら強制わいせつになりますよ!」と言うと、

「だったら、同意が有れば良い?」と言う。

「……」

「寧音ちゃん! 俺と付き合って」と言った。

そして、急に椅子から立ち上がり、私に近づき……

「ね? 付き合おうよ」と言った。

私は、ニッコリ笑って……

近づいて来る専務の顔を右手で受け止めた!

「ウグッ」

専務の顔は、私の右手の中で、潰れている。

「はいはい! もう、帰りますよ」とドアを開けると、スタッフさんがいらっしゃったので、お礼を言って、専務を引っ張ってエレベーターに乗せた。

すぐに、運転手さんに連絡して、今から下へ降りる旨を伝えた。

「なんで〜?」と酔ってエレベーターの壁に寄りかかりながら言っている。

「酒癖悪っ! しかも、弱っ!」と言うと、

「え? 寧音ちゃん酔わないの〜?」と聞かれた。

「はい! 中ジョッキ1杯じゃ酔いません」と言うと、

「酒豪だな」と言った。

──だれが酒豪よ! 貴方が弱すぎるのよ!

ピーンとエレベーターが1階に着いた。

「はい、行きますよ」と腕を持って引っ張りながら歩く。

「寧々ちゃん! 当たってる」と笑
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