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【エピソード37〜番外編〜】

Author: 水沼早紀
last update Last Updated: 2025-06-10 13:20:42
 それから三年が経った。 相変わらず私たち夫婦は、仲良しでやっている。

 莉音もだんだんと大きくなり、だいぶ言葉を話せるようになってきた。 莉音が本当にかわいいのか、爽太さんは莉音にメロメロだ。

 それだけではなく、一年後に産まれた第二子の女の子【莉子(りこ)】にもメロメロなのだ。 莉子も間もなく二歳になるところだ。

 爽太さん自身男の子がほしいそうだけど、もはや二人の女の子に恵まれて幸せそうなので、もう一人出来たら今度は男の子がいいと言っている。

「まーまー!」

「どうしたの?莉音」

「りこがりおんのえほん、かえしてくれない!」

 莉音が莉子に絵本を取られてしまいいじけているが、それを私は「莉音、莉音はお姉ちゃんなんだから、今は莉子に絵本貸してあげなさい」と告げるが、莉音は「やーだー!」と駄々をこねている。

「莉音、絵本はいつでも読めるでしょ」

「やーだー! いまよみたいのっ!」

 最近の莉音は莉子にベッタリな私がイヤなのか、よくこうして駄々をこねるようになった。

「莉音、莉子だって絵本読みたいのよ? ママと約束したでしょ?莉子には優しくするって」

「だって、さきにえほんよんでたのは、りおんだもんっ!」

 これは困った。 こうなると莉音は、なかなか機嫌を直してくれないのだ。

「莉音、莉子に貸してあげなさい」

「なんでりおんはだめなのに、りこはいいのー?」

 莉音も物心が付いてきたのか、最近はこうしてわがままを口にするようになった。 もちろん、ダメなものはダメだと言い聞かせているのだけど、なかなか言うことを聞いてくれない。

「りこは妹なんだから、譲ってあげるのは当たり前でしょ」

「なんでー? りおんのがさきだったもんっ!」

 私はため息を付くと、莉音に「じゃあ、ママが莉音と莉子に絵本読んであげる。 だから一緒に絵本飲むのはどう?」と提案してみると、莉音も諦めたのか「じゃあ、ママがりおんとりこにえほんよんでくれるの?」と聞いてくれるから、「そうだよ。それなら二人で見れるでしょ?」と言ってみる。

「じゃあ、ママがよんでっ」

 良かった、それで納得してくれようだ。

 今日は爽太さんが出張で大阪に行っていていないので、ワンオペなので特に体力が必要になる。

「じゃあね、莉音も莉子もママのところに来てね」

「はーいっ!」

「まーまー!」

 莉子も私の元へと走ってくる。

「じゃあ
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  • 私たち期限付き夫婦でしたが愛に包まれ本物の夫婦となりました。   【エピソード37〜番外編〜】

     それから三年が経った。 相変わらず私たち夫婦は、仲良しでやっている。 莉音もだんだんと大きくなり、だいぶ言葉を話せるようになってきた。 莉音が本当にかわいいのか、爽太さんは莉音にメロメロだ。 それだけではなく、一年後に産まれた第二子の女の子【莉子(りこ)】にもメロメロなのだ。 莉子も間もなく二歳になるところだ。 爽太さん自身男の子がほしいそうだけど、もはや二人の女の子に恵まれて幸せそうなので、もう一人出来たら今度は男の子がいいと言っている。「まーまー!」「どうしたの?莉音」「りこがりおんのえほん、かえしてくれない!」 莉音が莉子に絵本を取られてしまいいじけているが、それを私は「莉音、莉音はお姉ちゃんなんだから、今は莉子に絵本貸してあげなさい」と告げるが、莉音は「やーだー!」と駄々をこねている。「莉音、絵本はいつでも読めるでしょ」「やーだー! いまよみたいのっ!」 最近の莉音は莉子にベッタリな私がイヤなのか、よくこうして駄々をこねるようになった。「莉音、莉子だって絵本読みたいのよ? ママと約束したでしょ?莉子には優しくするって」「だって、さきにえほんよんでたのは、りおんだもんっ!」 これは困った。 こうなると莉音は、なかなか機嫌を直してくれないのだ。「莉音、莉子に貸してあげなさい」「なんでりおんはだめなのに、りこはいいのー?」 莉音も物心が付いてきたのか、最近はこうしてわがままを口にするようになった。 もちろん、ダメなものはダメだと言い聞かせているのだけど、なかなか言うことを聞いてくれない。「りこは妹なんだから、譲ってあげるのは当たり前でしょ」「なんでー? りおんのがさきだったもんっ!」 私はため息を付くと、莉音に「じゃあ、ママが莉音と莉子に絵本読んであげる。 だから一緒に絵本飲むのはどう?」と提案してみると、莉音も諦めたのか「じゃあ、ママがりおんとりこにえほんよんでくれるの?」と聞いてくれるから、「そうだよ。それなら二人で見れるでしょ?」と言ってみる。「じゃあ、ママがよんでっ」 良かった、それで納得してくれようだ。 今日は爽太さんが出張で大阪に行っていていないので、ワンオペなので特に体力が必要になる。「じゃあね、莉音も莉子もママのところに来てね」「はーいっ!」「まーまー!」 莉子も私の元へと走ってくる。「じゃあ

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  • 私たち期限付き夫婦でしたが愛に包まれ本物の夫婦となりました。   【エピソード33〜カウントダウン〜】

     爽太さんがイギリスに発つまで気が付けば残り一週間となっていた。 あと一週間後、私たちは離れてしまう。「爽太さん、もうすぐですね」「ああ。そうだな」 こうしてニ年間一緒に生活してみて、すごく思い出がたくさんあった。楽しいこと、面白かったこと、色々と思い出が蘇ってくる。 泣いたこともあった。辛かったこともたくさんあった。「私、爽太さんのことずっと大好きですから。……離れても、ずっと」「ああ、俺もだよ」 私たちのお互いを思うその気持ちは、これからもずっと変わらない。 私は爽太さんのことを愛している。この子の父親として、爽太さんは必ず帰ってきてくれると言ってくれたから。 待ってる、この子と二人で……。「そろそろ、向こうに行く準備しないとですね」「そうだな。もうそろそろ、やらないとな」「はい」 爽太さんと離れるのは、正直寂しい。本当のことを言うと、離れたくない。 ずっとずっと、一緒にいたい。「もしかしたら紅音のことを、もう少し待たせてしまうかもしれない。……けど、必ず迎えに行くから」 爽太さんからそう言われた私は「約束ですよ?……必ず、迎えに来てください」と言って爽太さんの手を握った。「ああ。 だって俺には、守らなきゃいけないものがもう一つあるからな」 それは私だけでなく、赤ちゃんもという意味だ。「だって私たちの赤ちゃん、ですからね」 大切な大切な、私たちの宝物。この子を守るためにも、私は爽太さんの分まで頑張らないといけない。   この子の成長を見届けて、爽太さんとまた再会した時、笑顔でまた会いたいから……。「帰ってきたら、二人を思いっきり抱きしめたいよ」「……はい。抱きしめて、あげてください」 私たちは、またさらに家族になるんだから。またこうして再会した日から、みんなで家族になるんだから……。「紅音、俺はこれからも、君のことを……。いや、君たちのことを大事にする。今度はこんな風に離れたりしないと約束する」 爽太さんの言葉は、私を強くしてくれる。心の奥まで、温かくしてくれる。「……約束、ですからね」 今度もし離れるようなことがあった時には、私はどうしようもなく、泣いてしまうかもしれないな。「紅音、俺の結婚指輪……持っててくれないか?」「え? でも、いいんですか?」「ああ。持っててほしいんだ、紅音に」 爽太さん

  • 私たち期限付き夫婦でしたが愛に包まれ本物の夫婦となりました。   【エピソード32〜離婚する必要なんてない〜】

     それからというもの、徐々にカウントダウンだけが進んでいった。 確実にその日は、やって来ようとしている。 以前よりもお腹は大きくなっていき、本当に妊娠しているのだという自覚が出てきた。 最近はよく、赤ちゃんがちょっとだけど、お腹の中で動くようになってきた。 その度に赤ちゃんがちゃんと生きてるんだって感じて、なんだか嬉しくなる。私たちの赤ちゃんは、こんなにも元気なんだって感じる。「紅音、お腹……触ってていいか?」「いいですよ」  最近の爽太さんは、よくこうして大きくなってきたお腹を触るのが日課になっている。 そして赤ちゃんに話しかけながら、嬉しそうな表情をしているんだ。「お、赤ちゃん今、動いたな」「動きました?」「ああ、動いた。……すげえ、嬉しいもんだな」 爽太さんは幸せそうに笑みを浮かべながら、そう言っていた。「爽太さんもすっかり、父親の顔になってきましたね」 と言うと、爽太さんは「だって俺、この子の父親だからな」と言っていた。「確かに、そうですね」 爽太さんが父親というだけで、この子はきっと幸せだ。……爽太さんは離れていても、私しとこの子のことを一番に思ってる。 そう言ってくれたから、信じることが出来る。「俺はこの子のために、いい父親になりたいって思ってる」 爽太さんは突然、そんなことを言ってきた。「……大丈夫ですよ、爽太さんならなれます」 私は爽太さんの言葉に、そう返した。「そう思うか?」「はい。……だってこの子の父親に相応しいのは、あなたしかいないんですよ?」 あなただけが私の夫であり、家族になる人なんだから……。 この子の父親として、爽太さんはきっと私たちを幸せにしてくれると信じてる。「そうだな……。俺はこの子の父親、だもんな」「そうですよ。この子もパパが爽太さんだと分かって、きっと喜んでくれてると思いますよ?」 あなたの父親は、とても優しくて心の温かい人なんだって……ちゃんと伝えたい。「そうだといいな。……俺もたくさん、愛してやりたい。紅音のことも、この子のことも。世界一幸せにしてやりたい」「それは嬉しいです。 きっとこの子も、嬉しいと思います」 お腹に手を当て優しく撫でながら、こうやって微笑み合うのももう少しか……。 この一瞬を、この瞬間を、大切にしていかなきゃって思う。爽太さんとは一年間、

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