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~第二十一話③~ 飛鳥はそれを我慢できない

مؤلف: 倉橋
last update آخر تحديث: 2025-11-01 04:23:22

 真宮子が悪だくみに励んでいた頃、飛鳥と悠馬は校庭のウサギ小屋の陰にいた。

 朝のショートルームまでのわずかな時間。ウサギ小屋の周囲には誰もいない。

 飛鳥は悠馬の右腕を握ったままだった。

「遠山さん、いけないよ。僕、やっぱり駅に戻る。ちゃんとみんなに説明する」

 飛鳥はゆっくり首を左右に振る。

「遠山さん。お願いだから、腕を離して。卑怯な真似するなんて僕、絶対にイヤだもの」

 飛鳥はニッコリと笑った。悠馬を優しい目で見つめた。次の瞬間、飛鳥の両目からは、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。

 飛鳥は空いている右の手で涙をぬぐった。

「朝井くんはね。いい子だよ。本当にいい子だよ。だから私……」

 飛鳥はしっかりと悠馬を抱きしめていた。

「私、悠くんのことが大好き。今は私の言うこと聞いてね」

 悠馬は茫然とした表情のまま、飛鳥を見上げる。真っ赤になった悠馬の頬を、飛鳥は愛しそうになで回した。

「しばらく私とバスで登校しようね。私、遠回りになるけどいい。悠くんと一緒なら構わない」

 飛鳥は悠馬のおちょぼ口に、自分の唇をピッタリと重ねたかった。

 けれども今は……。

 大きく深呼吸してから、真っ赤に染まった悠馬の頬に、そっと唇をつけた。それが飛鳥の気持ち。

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  • ~スーパー・ラバット~ムーン・ラット・キッスはあなたに夢中   ~第二十一話②~ 三人の女子高校生の陰謀

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