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第7話

Author: くまちゃん
幽霊になった今でも、ここに戻ってくると、やっぱり怖くなってしまう。

中にいた子供たちは、誰かが助けに来てくれたことに気づいた。

みんな口ぐちに「あー」とか「うー」とか叫んでいた。

でも今度は、喜びで興奮しての声だ。

あまりにむごい光景を目の当たりにして、普段は無愛想な警察官でさえ、涙をこらえきれなかった。

ひどい。

ひどすぎる。

人間のやることじゃない。

父は、倉庫の床に皮を剥がれた犬が転がっているのを見つけた。

もとは真っ赤だったはずの犬の体が、もう黒ずんでしまっていた。

その周りを、数えきれないほどのハエが飛び回っている。

床には、あの汚れた針も落ちていた。

その瞬間、父の怒りが爆発して、夢中で近くにいるはずの誘拐犯を探し始めた。

誘拐犯はパトカーのサイレンを聞いて、逃げ出していた。

でも、彼の目は僕が傷つけていた。

だから、すぐ近くで見つかった。

父が誰よりも先に駆け寄って、その男の頭を掴んでコンクリートの地面に何度も叩きつけた。

「よくも俺の子を!よくも俺の子を!」

父の顔には青筋が浮かんでいて、その時だけは、ちゃんとした父親みたいに見えた。

でも、そうなるための代償は、あまりにも大きすぎた。

本当に、大きすぎたんだ。

父は、あの男の服を探って、僕が奪われた銀のブレスレットを見つけ出した。

震える手で、そっとそれを胸にしまった。

「これは海斗のブレスレットだ。あの子が俺に残してくれた、たった一つの形見なんだ」

でも、そのブレスレットに彫ってあるのは、弟の名前だってことを、父は忘れてるみたいだ。

あれは、父が弟の誕生日にあげたプレゼントだった。

僕はそれを拾ってから、ずっと大事につけていたんだ。

でも、それを見つけた弟が、僕が盗んだんだって泣き出した。

僕が「拾ったんだ」と説明しても、弟は父に捨てたことがバレるのを恐れて、僕を泥棒だと言い張って、無理やり奪おうとした。

僕たちがもめていると、父が間に入ってきた。

そして、「浩輔は人が使ったものはいらないだろうから、今度もっといいのを買ってやる」と言った。

そう言うと、父は銀のブレスレットを、まるで恵んでやるみたいに僕に投げよこした。

それなのに今、父はそのブレスレットが僕が残した唯一の形見だなんて言ってる。

……

誘拐犯は、父と母が、前日逃げた
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