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第2章

作者: キラキラジュエリー
私は洸星に電話をかけたら、珍しくつながった。

「洸星、実は、私たちはもう離婚……」

「すみません、洸星なら今寝ていまして」

その声なら何度もVlogで聞いたことがあるから、すぐに時音だとわかったが、あえて聞く。

「あなたは?」

「洸星の友人です」

私は数秒間黙っていた。

「洸星に何か用事があるんですか?彼は昨夜、一晩中荷物をまとめていて、一睡もしていませんので、だいぶ疲れています。

何か用事があれば、私が代わりに伝えましょうか?」

私は自嘲気味に笑った。

電話を切ろうとしたその時、受話器の向こうから洸星の声が聞こえてきた。

しばらくして、洸星が電話に出た。

「美雲か、何か用事ある?」

「今の、誰?」

受話器の向こうは長い間沈黙した。

「友達だよ」

「ただの友達?」

「ただの友達だよ、余計なことは考えないでくれ」

「もしかして、二人は……一緒に帰ってくるの?」

「うん、彼女は体が弱いから、俺は医者だし、面倒を見てあげられる」

電話の向こうから空港のアナウンスが聞こえてきた。

「そういえば、美雲、花が好きだったよな?

苗を持ってきてあげたから、楽しみにしてて」

そう言い残すと、彼は電話を切った。

私はベランダに出た。

花棚には植木鉢が置かれていたが、その土はすでにひび割れていた。

風が吹き抜け、ほこりが舞い上がった。

とっくに花を育てるには適さない状態だった。

スマホの画面が光った。洸星からのメッセージだ。

【そろそろ飛ぶから、また後で】

……

午前10時、洸星が帰ってきた。

彼は髪が短くなり、目の下にはかすかな青黒いクマができたが、全体的に以前より穏やかな雰囲気になっていた。

私は数秒間、呆気にとられた。

彼は軽く笑い声を上げ、ふわりと私を腕の中に抱き寄せた。

「三年ぶりだな。俺のこと、分からなくなった?」

「うん」

彼は私の髪を撫でながら、ブツブツ文句を言った。

「なんだよ。わざわざ花の苗まで持ってきてやったのに」

彼が出したのは、まっすぐな枝一本に、まばらに数枚の緑の葉がついているだけで、花はまだできていないものだ。

パタッ。

私は音の方を見た。

白い薬の小瓶が地面に転がっていた。

オメプラゾール、胃の病気の薬だ。

「洸星、胃の調子が悪いの?」

「いや、それは……時音のものだ」

「時音って、友達のこと?」

「ああ」

「彼女、病気なの?」

「うん、かなり重い病気で、痛みが出ると何も食べられないんだ」

「どうして彼女の薬が洸星のところにあるの?」

「取り違えたんだろう」

彼はまた嘘をついた。

洸星は私の手を引いて、ベランダへと連れて行った。

「そんな話はいいよ、花を植えよう」

しかし、ひび割れた土を見て、彼は一瞬固まった。

「大丈夫、後で時音に土を持ってきてもらうから」

「お義母さんの病気は治ったの?」

「……だいぶ良くなったよ」

「暇な時、お義母さんに会わせてくれない?」

彼は花を握る手を少し強く握りしめた。

「今度な」

彼はやっぱりまた嘘をついた。

私はそれ以上何も言わなかった。

夜8時、療養施設から電話がかかってきた。

洸星の祖母からの電話だった。

夕食後、洸星は少し散歩に行くと言ってから、まだ戻ってきていない。

「美雲、洸星が携帯電話を忘れていったから、取りに来てくれないか」

「あれ?洸星はさっき、おばあちゃんのところにお見舞いに行ったんですか?」

「ええ、友達も連れてきていたわ」

「時音さん?」

「そうよ」

「彼女のことは知ってたんですか?」

「あなたを知るよりもずっと前からよ。時音が大人になっていくのを見守ってきたんだから」

「仲がいいんですね」

「ええ、孫が気に入っているなら、私も気に入るわ」

鼻の奥がツンとした。

「それなら、これからは彼女におばあちゃんのお世話を任せてもらうのはどうですか?」

「ダメよ!」

その即答に、私は一瞬驚いた。

「時音にこんなおばあさんの世話をさせるなんて、かわいそうでしょう。汚い仕事や大変な仕事は、やっぱりあなたがやらなきゃいけないのよ」

私は喉が詰まったようで、しばらく言葉が出なかった。

彼女は洸星の祖母であって、私の祖母じゃないのに、結婚してからの3年間、世話を続けてきたのは私だった。

おばあちゃんがベッドに横たわって身動きもできない時は、私が排泄の世話をしてあげた。

寝たきりで薬を飲む時は、私が口に運んであげた。

おばあちゃんがちゃんと話せるようになるまで、私は全力を尽くした。

私はおばあちゃんを自分の実の祖母のように大切にして世話をした。

最近、おばあちゃんの病状が好転し、私の仕事も次第に忙しくなったため、おばあちゃんを療養施設に入所させた。

3年間も世話をしてきたのに、返ってきたのはこんな扱いだったなんて思わなかった。

「おばあちゃん、もう遅いし、寝たほうがいいですよ」

「わかった。明日は私の誕生日だから、時音を呼んで一緒に食事をするようにね」

電話を切ると、家の中は再び静まり返った。

夜10時、洸星が帰宅した。

「洸星。おばあちゃんが、あなたが携帯をそっちに置き忘れたって言ってたよ」

洸星は靴を脱ぐ手を止めた。

「……そうか」

「どうして時音を連れて行ったの?」

「誤解しないでくれ。おばあちゃんを気遣ってくれたから、連れて行っただけだ」

「彼女を連れて行くくせに、私を連れて行かなかったのね」

「いつも会ってるじゃないか」

「それとは違うの」

彼は驚いたように私を一瞥した。

「何が違う?」

「意味が違うの」

私は、自分でノコノコ訪ねて行く方。

彼女は、洸星に連れて行かれてちゃんと紹介される方。

まったく違う。

「わかった、わかった。喧嘩はやめよう。これからは全部君の言う通りにするよ」

洸星は顔いっぱいに妥協の表情を浮かべ、従順を演じた。

この3年間、家で何を買うか、私ひとりで決めた。

おばあちゃんの世話も、私ひとりでこなしてきた。

結婚指輪さえも、私ひとりで選んだものだった。

何もかも投げ捨てた男が、いまさら何を言っているのだろう。

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