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第316話

Author: 冷凍梨
言うべきことはすべて言い切り、私はそのまま更衣室を出た。

これ以上、八雲と葵と同じ空間にいたくない。私の夫である彼と、その「彼の寵愛を一身に受けている」葵が、深く、執拗なほどに愛し合っている光景は、私にとってあまりにも目障りだったからだ。

だが更衣室を出たあとも、豊鬼先生の声が耳に入ってきた。「申し訳ありません、紀戸先生。水辺は性格があまりに頑なでして。後ほどきちんと話しておきます。改めて、紀戸先生と松島先生に謝らせますので……」

続いて、泣き声を含んだ葵の声。「いえ、豊岡先生……そこまでなさらなくていいです。たぶん、たぶん水辺先輩は一時的に感情的になって、あんなことをしてしまっただけなんです……八雲先輩も、水辺先輩を責めないでね。ほら……私たち、同じ学院の先輩後輩だし……」

――笑える。その言い方、まるで私が八雲を通報した張本人だと決めつけている。

私のこの後輩、さっきまで八雲の前で涙をぽろぽろこぼしていたくせに、今度は忘れずに私のために嘆願までしてくれた。なんともご立派な同門愛だ。

ありがたく思うべきなのかどうか、正直分からない。

だが、八雲をあれほど怒らせて、私に酷い言葉を吐かせたのは、結局のところ――彼女の、あの「かわいそうな涙」が原因じゃない?

「そういう関係があるからこそ、なおさら慎重に扱うべきでして……はぁ、水辺という子は……」豊鬼先生はなおも取りなしていた。

「当然、慎重に扱うべきです」八雲の声が響いたのは、まさにその時だ。玉石が打ち合わさるように澄んで冷たく、凛とした声音。

だが次に葵へ向けられた言葉は、明らかに柔らかくなった。「葵が彼女をかばう必要はない。この件は、院の調査結果が出てから判断しよう」

それ以降の会話は、もう耳に入らなかった。正確に言えば、八雲のその「当然、慎重に扱うべきです」という言葉を聞いた時点で、もう何も聞きたくなくなっていた。

私は足早にその場を離れ、胸の奥がひどく荒んでいくのを感じた。

やはり、八雲は私を信じていない。それどころか、決して私を見逃すつもりもない。そしてその大きな理由の一つが――彼が寵愛する葵なのだ。

彼の目には、私が彼が寵愛する葵を傷つけた存在に映っている。だからこそ、許すはずがない。

最初からこうなると分かっていた。

なのにあの三年間の結婚生活を考えて、少しくらいは信じてく
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Comments (3)
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Julius
葵凄い 自分の特性を最大限利用して 可哀想で か弱いキャラを押し通す… 薔薇子がいるから際立つと思っていたら 自分でも演出出来てる 葵も2人の関係が普通では無いと気付いているから余計仕掛けてくる 水辺先生みたいに真っ直ぐにしか生きられない人は 小狡い女には中々勝てない 残念… 対等な大人の女性としては認識出来ず 庇護欲を掻き立てられ自分が守っていると 勘違いして満足するクズ夫 賢い男は子供扱いし 馬鹿な男は相手の術中にハマる
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東 康世
浩賢の方が良い人だわ!
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東 康世
八雲は3年間も夫婦だった水辺先生の事信じてあげないんだろ…ぶりっ子葵を信用し過ぎてる...️浩賢と
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