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第5話

Author: 森と島と夏
颯真が家に戻って最初に目にしたのは、テーブルの上に置かれた書類だ。

電気が消えていたので、サインがうっすらと見えた。

「ちゃんと言うことを聞いたな」

けれど、タイトルを目にした瞬間、手が止まった。

株式譲渡契約書ではない。

離婚届だ。

家の中は、半分が空っぽになっていた。

私の本も、服も、身分証も、すべて消えていた。

颯真はスマホを取り出して私に電話をかけたが、聞こえてくるのは冷たいアナウンスだけだ。

茜が後ろからついてきて、小さな声で言った。

「茉里ちゃん、たぶん颯真を脅かしたいだけよ。迎えに行ってあげればいいわ」

「彼女は出ていかない」

颯真はそう言った。まるで自分自身に言い聞かせるように。

「仕事もないし、収入もない。どこへ行けるだろう?」

彼は寝室のドアを開け、ナイトテーブルの上に置かれたあの箱を見つけた。

一番上には結婚指輪。

その下にエコー写真があった。

颯真は写真をつまみ上げ、しばらく何も言わなかった。

「これは?」

茜の顔色が変わった。

「まさか、赤ちゃんのエコー写真……」

「茉里、妊娠してたのか?」

颯真の声が少し掠れた。

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