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第112話:リディアの交渉

Auteur: 渡瀬藍兵
last update Dernière mise à jour: 2025-11-12 22:05:32

**────ジンのの視点────**

 やる気か、と。僕は心の中で、小さく呟いた。

 ここは冒険者ギルド。依頼と情報が交差する、いわば中立の聖域だ。そんな場所で騎士が刀を抜き、殺し合いを演じようというのだから、面白い。実に、面白い。

 僕は向かってきた騎士の剣戟をいなすどころか、その勢いを逆に利用して体ごと弾き飛ばした。空中で無様に体勢を崩した彼の喉笛へ、僕は逆手に持ち替えた刃を、まるで吸い込まれるかのように滑らせる。

「がぁっ……!」

 声にならない呻きを漏らし、騎士が床に崩れ落ちた。口からごぼりと泡を吹き、痙攣する手足が、彼の命が尽きかけていることを示している。

 仲間の一人が一瞬で無力化されたというのに、残された騎士たちは状況が飲み込めていないらしい。驚愕に見開かれた目が、滑稽なほどにこちらを向いていた。

「き、貴様っ! 正気か!?」

「あはは、面白いことを言うね、君。先にその物騒な鉄の獲物を抜いたのは、そっちじゃないか」

「そ、それにしてもだ! 我々騎士に刃向かうなど、あってはならないことだぞ!?」

「残念だけど、僕はそんな立派な冒険者様じゃない。僕はジン。世界を渡り歩く、ただの傭兵だからね」

「ジン……!?」

 その名に、騎士の一人が息を呑んだ。どうやら僕の名も、多少は裏の世界に知れ渡っているらしい。

「くそっ……! やられて黙っていては、騎士の名が廃る! こいつも捕縛しろ!」

 別の騎士が、その手に蒼い水の魔力を纏わせながら、僕へと突進してくる。ギルドの中で属性魔法を放つ? ああ、本当に、愚かだな。

「はぁ……後悔しても、知らないよ」

 僕は腰に差した愛刀「雪月花」の鯉口を切ると、一閃、抜き放った。

 (鳴神式抜刀術――神威の型。)

 空気を切り裂く音だけが響き、騎士の右腕が、ごとり、と鈍い音を立てて石床に転がった。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!!! お、俺の腕がァァァァッ!!」

 やかましいね。腕の一本や二本、飛んだくらいで喚くなんて。自分から仕掛けておきながら、いざ返り討ちに遭えば獣のように吠え立てる。弱者の典型だ。

「お、お前……! 自分が何をしたか、分かっているのか!?」

「さっきも言ったはずだよ。先に始めたのは、そっちだってね」

 僕は刀身に付いた血を振るい、ゆらり、と笑みを浮かべた。

「まだまだ足りないな。……もっと、殺り合おうよ」

 ああ、い
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