Your Lips to Mine #5: The Billionaire's Heart on Trial

Your Lips to Mine #5: The Billionaire's Heart on Trial

last updateDernière mise à jour : 2025-01-06
Par:  Miss AmateurComplété
Langue: English
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When billionaire Dominic Hayes is accused of corporate fraud, he hires Serena Caldwell, the country’s top lawyer, to clear his name. As Serena uncovers a web of betrayal led by Dominic’s vengeful cousin, danger escalates, and sparks fly between them. Torn between professionalism and passion, they must work together to expose the truth—before it’s too late

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Chapitre 1

Trial 1

晟峻は、紺色の警察官の制服をきちんと着こなしていた。ただでさえ端正な顔立ちがいっそう精悍に映る。だが、よく見れば顎には青い無精ひげが浮き、充血した目には隠しようのない疲労がにじんでいた。

心配そうな顔をしながらも、その口調には責めるような響きがあった。晟峻はごく自然に泉澄の前にしゃがみ込み、靴を履かせようとした。

「こんな大怪我をしていたのに、どうして俺に知らせなかったんだ?」

だが、泉澄はすっと足を後ろへ引き、差し出された手を避けた。

晟峻の手は宙に取り残された。彼が眉を寄せて見上げると、泉澄の凪いだ水面のような瞳とぶつかった。そこにはもう、何の感情も浮かんでいなかった。

「大した怪我じゃないわ。あなたは仕事を優先して」

淡々と告げると、泉澄は自分で靴を履いて立ち上がり、退院の書類を手に病室を出ていった。

ひと回り小さくなったように見える背中を見送りながら、晟峻の胸に正体不明の不安がよぎった。

泉澄が、どこか変わってしまった気がする。

晟峻はあとを追った。泉澄は一人で退院手続きを済ませ、窓口で薬を受け取ると、そのまま病院前のバス停へ向かった。

すぐ後ろに晟峻がいるというのに、彼女は振り返って甘えることも、来るのが遅かったと責めることもなかった。以前なら彼の胸元に寄りかかり、顎の無精ひげを撫でながら、仕事で無理をして体を壊さないでと何度も言ったはずなのに。

訳のわからない苛立ちと焦燥に駆られ、晟峻は泉澄の手首をつかんだ。唇を引き結び、低い声で尋ねる。「事故のことで怒ってるのか?それとも、満の……」

泉澄は言葉を遮り、つかまれた手をゆっくりと引き抜いた。その声は冷淡なほどに静かだった。

「どちらでもないわ。晟峻、もう済んだ話はしたくないの」

再び手を振り払われ、晟峻は焦ったように追いすがった。

「だったら、どうして――」

そのとき、バスが停留所に滑り込んできた。

泉澄はもう晟峻を見ようともせず、ためらいなく乗り込んだ。乗客の流れに押されながら、車内の中ほどまで進んで立つ。

晟峻も口を引き結んだままあとに続いた。泉澄の背後まで人をかき分けて進むと、大きな体で人波を遮り、彼女を守るように立った。

窓の外を流れていく街並みを見つめ、すぐ背後に晟峻の体温を感じているうち、泉澄の意識は5年前――初めて彼と出会った日へと遡っていった。

あの日は国立バレエ団の休演日だった。泉澄は少しずつ貯めたお金を握りしめ、繁華街の洋服屋へ新作のワンピースを買いに出かけた。

店の前まで来たとき、通りに「ひったくりだ!」という叫び声が響いた。騒然とする人波の中から、制服姿の警察官が飛び出し、逃げる男を鮮やかな蹴りで倒して瞬く間に取り押さえた。

顔を上げたその警察官の鋭い眼差しに射すくめられ、泉澄はその場で身動きができなくなった。

なんて恐ろしい人だろう。そう思ったのに、その顔はいつまでも記憶から消えなかった。

2度目に見かけたとき、晟峻は木に登り、遊んでいて降りられなくなった幼い女の子を助けようとしていた。足を滑らせて落ちた瞬間も、彼は女の子を胸に抱き込み、自分の身を挺して最後まで守り抜いた。

腕から血を流しながらも、晟峻は穏やかに笑い、その子の髪を撫でていた。その瞳に宿る温かな光を人垣の向こうから見た瞬間、泉澄の胸は大きく跳ねた。

3度目は、国立バレエ団が慰問公演のため警察署を訪れたときだった。

舞台で踊る泉澄を、客席にいる晟峻がじっと見つめていた。視線が重なった途端、胸が高鳴り、耳まで熱くなった。

その後、晟峻が見合いをしていると知った泉澄は、法曹界で働く叔母に頼み、縁を取り持ってもらった。

お見合いの席で、向かいに座った晟峻は誠実な口調で切り出した。「水瀬さん、俺は仕事柄、家を空けることが多いんです。家庭のことまで十分に手が回らないかもしれない。それでも構いませんか?」

泉澄は耳を赤くしながらも、迷いなく答えた。「構いません!」

晟峻はうなずき、約束してくれた。「必ず大切にします」

結婚してから、晟峻は確かに泉澄を大切にしてくれた。けれど、いつも仕事に追われていた。

家のことはすべて泉澄が担った。ガスが止まっても、電球が切れても、雨漏りがしても、晟峻はすぐには帰れない。泉澄は袖をまくり、見よう見まねで何でもこなせるようになった。

世話焼きな晟峻は、非番の日でも近所の困りごとを進んで引き受け、時には家計を削ってまで他人を助けることがあった。それでも泉澄は快く賛成し、一度も不満を口にしなかった。

泉澄が満を産んだころ、晟峻は隣市の重大事件の捜査に駆り出されていた。彼が帰宅したのは、産後1ヶ月が過ぎてからだった。

血走った目と隠しきれない罪悪感を前にしても、泉澄は胸の内の不満をすべて呑み込み、ひと言も責めなかった。

その日、晟峻は泉澄を強く抱きしめ、これからはもっと家族のために時間を作ると約束した。

だが、その約束は守られなかった。

晟峻は以前にも増して忙しくなった。署で、一人の後輩の指導を任されたからだ。

桐谷紗耶(きりたに さや)という女性警察官は、いつも「先輩」と甘えた声で彼を呼び、仕事でミスをしては問題を起こした。そのたびに晟峻が尻拭いをした。

初めの頃こそ、紗耶の話題になるたび苛立っていた晟峻だが、いつしか彼女のことを話す顔に笑みが浮かぶようになった。無自覚のまま、彼女を甘やかすようになっていたのだ。

泉澄はそのことで何度も涙を流し、不安な思いをぶつけた。だが返ってくるのは、泉澄の気持ちを少しも理解しようとしない非難ばかりだった。

「泉澄、紗耶は大事な後輩で、同じ署で働く仲間だ。やましい関係なんて絶対にない。俺が君を裏切るはずがないだろう。これ以上、筋の通らないことで責めるのはやめてくれ」

そして半月前、未曾有の洪水が街を襲った。住民の避難誘導に当たっていた晟峻は、泉澄と1歳になったばかりの満の救助を最後まで後回しにした。

泉澄は満を抱き、2階のベランダで必死に助けを待っていた。

ようやく晟峻がこちらへ向かおうとしたとき、救助されたばかりの男の子が水へ落ちた。紗耶が助けようと飛び込んだものの、水の中で足がつって動けなくなった。

その瞬間、晟峻は少しも迷わず向きを変え、紗耶を助けに向かった。

その直後、濁流が2階まで押し寄せた。泉澄と満は水に呑まれ、泉澄が意識を取り戻したとき、1歳になったばかりの娘はすでに息をしていなかった。

病室の外から、自責の念に駆られている紗耶を慰める晟峻の声が聞こえてきた。

「泣くな。君は悪くない。あの状況では仕方がなかったんだ。君が責任を感じることじゃない」

その言葉を聞いた瞬間、泉澄は笑った。全身を震わせて笑いながら、目からはとめどなく涙があふれ続けた。

泉澄は一晩中、暗闇の中でただ座り続けた。夜が明けると、満の火葬に必要な書類の束に離婚届を紛れ込ませ、晟峻に署名させた。

満の葬儀の日、晟峻はわずかな時間しか顔を見せなかった。紗耶に呼ばれると、また慌ただしく去っていった。

晟峻がいなくなったあと、泉澄は二つのことをした。

一つ目は、区役所へ離婚届を提出し、離婚の手続きを始めること。

二つ目は、国立バレエ団の海外研修に申し込み、海外の芸術都市で3年間学ぶこと。

すべてが済み次第、泉澄は晟峻のもとを去る。5年間暮らしたこの家にも、二度と戻らないつもりだった。

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