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『パラレル』─ 愛の育み方を間違え相手の気持ちを理解できず、愛を失くした男の物語 ─
『パラレル』─ 愛の育み方を間違え相手の気持ちを理解できず、愛を失くした男の物語 ─
Author: 設樂理沙

1◇単身赴任

Author: 設樂理沙
last update Last Updated: 2025-12-19 22:57:04

「ねぇ、今度こそ――――

 会社から打診されている仕事を受けようかと思ってるんだ」

「打診って……それって強制じゃなかったよね、確か。

 別に今まで通り本社での仕事を続けていてもいいんでしょ?

 単身赴任しないといけないなんて、私は応援できないわ」

 以前にも夫から、一度昇進するためにも単身赴任の仕事を受けてみたいと

聞かされたことがあった。

 本当なら子供もまだ未就学なのだから、思い切って子供を連れて

帯同すればいいのかもしれない。

 しかし私たち夫婦には、現在、そして夫婦の結婚前からの将来設計などを

鑑みても、夫にくっ付いて行くということは選択肢になく、夫がどうしても

その新しい仕事に取り組みたいとなれば、単身赴任は必至だった。

 その夫の単身先の仕事というのは、家族にとってものすごく厄介だった。

 あちらに居る期間がどれくらいなのか、全く決められていないのだ。

 子供を持つ既婚者がするような仕事じゃないわよ全く。

 会社も会社よね。

 どうして出先に出ないと出世ができないような仕組みにするのか? 

 社長に文句言ってやりたいくらい。

 こんな仕事形態《勤務形態》なので、出世を捨てて安定した家族との生活を

選んでいる社員も少なくはないのだとも、夫からは聞いている。

 就職してからすぐに頭角をめきめきと現し、会社に将来を嘱望される

ようになった夫は――――。

 私と結婚した時には、すでに激務をこよなく愛するモーレツ仕事人間《社員》になっていた。

 それでも恋愛中、そして新婚時代、第一子妊娠中、娘が3才になるか

ならないかの頃まで……まぁ、第二子出産辺りまでは、それでも土・日は家に

居られるような生活だった。

 夫は、娘のことも可愛がってくれたし、家族に目が向いてたように思う。

 そんな私たちの結婚生活は、6年が過ぎようとしていた。

  

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