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第6話

Author: 団子ちゃん
「どうして勝手に私のものを見るの?」

研人が投げつけた診断書を前に、みゆきは咄嗟に視線を逸らし、別の話題でごまかそうとした。

「私、もう十八歳なんだよ。勝手に部屋に入って、私物を漁るなんて……そんなのやめてよ!」

「話を逸らすな!」怒りのあまり、研人は目の前の灰皿を掴むと、思いっきり床に叩きつけた。

ガンッという鈍い音に、みゆきはびくりと身を震わせる。

その緊張を和らげるように、かれんがすかさず間に入った。

「みゆきちゃん、誤解しないで」

彼女の声には作り物の優しさが滲んでいた。

「研人さんはあなたの部屋に入ってないの。悪いのは私……昨日、研人さんに着てた服を……」

彼女はそこで一度言葉を切った。頬を赤らめ、わざと恥ずかしいふりをして、数秒後に話を続けた。

「私、着替えを持ってこなかったから、仕方なくみゆきちゃんの部屋に入って、古い服を借りに行ったの。そしたら、机の上にあの診断書が置いてあって……」

それは真っ赤な嘘だ。

みゆきは、診断書を受け取ったその日に鍵付きの引き出しにしまったはずだ。

それなのに、まるで自分がそれをわざと机の上に置き、発見されるのを期待していたかのように、かれんは語った。

「みゆきちゃんはまだ若いのよ?がんだなんて、そんなわけないでしょ?」

かれんは胸元に手を当てて、物憂げで美しい表情を作る。

「正直に教えて、この診断書って本物?それとも……ただの悪ふざけ?」

みゆきは何も言わずに研人に振り向いた。そして、ようやく気づく。

研人の瞳には、心配よりも怒りが勝っていた。

彼女が帰宅する前に、かれんがよほどの言葉を研人に吹き込んだのだろう。だから研人は彼女が病気を装って、注目を引こうとしたと思い、怒っていた。

それならそれでいいと、みゆきは思った。秘密がバレずに済むのだから。

「……冗談だったの」彼女は小さく答える。

「友達とふざけて作っただけ。まさか、見つかるとは思ってなくて……」

しかし、言い終わる前に、ずっと黙っていた研人が立ち上がった。

「今から病院に行こう、検査してもらうんだ」

悪ふざけなのかどうか、病院にいけばわかる。

「研人さん……」

みゆきは一歩下がり、必死に抵抗を試みる。

だがその瞬間、彼の冷たい視線が突き刺さった。

それだけで、みゆきはもう何も言えなかった。

研人の性格を彼女は知っている。だから、今日のこの検査は避けられないと彼女は悟ったのだ。

病院に着いたのは、深夜十二時を回った頃だった。本来なら、救急以外の科はもう受付をしていない時間帯だ。

けれど、研人は事前に院長へ連絡を入れていた。病院側は彼に逆らえず、特別に医師を呼び出し、みゆきに最も詳しい検査を施した。

がんの検査には、最低でも二時間はかかる。みゆきにとってその二時間は、永遠にも感じられるほど長かった。

彼女はどうしても考えてしまう。もし自分が余命わずかだと知ったら、研人は少し、悲しんでくれるのだろうか?

それとも、今の自分は彼にとってただの足手まといで、わがままで嫉妬深い厄介な存在だから、一刻も早く切り捨てたいと思っているのか。

どれだけ時間が経っただろうか。ようやく医師が診察室から出てきて、診断結果を手にして口を開いた。

「朝倉さん、検査の結果が出ました。小林さんの体にはまったく異常は見られません。がんではありませんでした」

まさかの結果だった。長い長い苦しみの末に辿り着いた先が、こんな嘘のような結末だなんて。

みゆきは思わずかれんを睨んだ。

彼女の仕業に違いない。こんなことができるのは、他にいない。

「よかった……」かれんが長く息を吐いた。

安堵の色を浮かべながら、彼女は言う。

「ただの冗談だったのね。みゆきちゃんが無事で本当によかったわ。研人さんも安心したでしょう?」

研人は何も言わずに、ただじっとみゆきを見つめた。

その瞬間、彼は気づいた。

みゆきの顔は恐ろしいほどに青ざめていた。

――まるで、今まで大切に育ててきたバラが、ひとしずくずつ命を失っていくように。
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