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あなたに私の夫を差し上げます
あなたに私の夫を差し上げます
Author: 雫石しま

母としての喜び

Author: 雫石しま
last update Last Updated: 2025-08-22 09:39:26

彼女の名前は、叶 木蓮(かのう もくれん)。明日は二十五歳の誕生日。奇しくも、彼女と同じ誕生日。双子の妹、睡蓮(すいれん)がいる。二人は、子どもの頃、いつも同じケーキを囲んで笑い合った。髪型も服もそっくりで、まるで鏡に映ったもう一人の自分。でも、二年前、睡蓮は突然、アメリカへ渡った。何の前触れもなく、ただ「行ってくる」とだけ言い残して。空港で見送った彼女の背中は、どこか遠くへ消えていく影のようだった。

「どうしたの?何かあったの?」

何度LINEで訊ねても、返事はなかった。既読にもならず、連絡は途絶えた。今もその理由は分からない。木蓮の胸の奥にぽっかり空いた穴が、時折疼く。

最近、体調が優れない。食欲がなく、吐き気が続き、微熱が引かない。心配になった木蓮は、総合病院を受診した。待合室は消毒液の匂いと、ざわめく人々の声で満ちていた。診察室に入ると、白衣の医師が穏やかな笑みを浮かべ、カルテに目を落とした。

「食欲がなくて、吐き気がするんですね?微熱も続いている」

「はい、もしかして……コロナでしょうか?」

医師は和かに目を細め、柔らかい声で言った。

「念のため、こちらで確認しましょう」と、カルテを手渡され、内科から産婦人科へ案内された。産婦人科の待合室は、柔らかな光に包まれ、どこか温かみのある空気が漂っていた。期待と不安が胸の中で交錯する。初めて乗る受診台はひんやりと冷たく、気恥ずかしさで思わず顔を手で覆った。カーテン越しに眩いライトが揺れ、機械の小さな音が響く。しばらくすると、トクトク、トクトクと、微かで力強い音が聞こえてきた。「おめでとうございます、心音が確認できました」「…………心音?」胸がドキンと跳ねた。

頭が一瞬空白になり、言葉が喉に詰まった。「赤ちゃんです。双子の赤ちゃんですよ」医師の言葉が、柔らかな波のように心に広がった。彼女の頬は喜びで熱くなり、思わず赤らんだ。「双子………まるで私と睡蓮みたい」涙がこぼれそうになり、慌てて目を瞬いた。

診察室を出て、妊娠証明書を二通受け取り、待合の椅子に腰掛けた。証明書を握る手が、わずかに震えている。周囲には、お腹の大きな妊婦さんが旦那さんと微笑ましく言葉を交わしている。幸せそうな笑顔が、まるで未来の自分を映しているようだった。木蓮はそっとお腹に手を当てた。そこには、確かに新しい命が宿っている。双子の鼓動が、彼女の心と共鳴する。睡蓮に伝えたい。この喜びを、彼女と分かち合いたい。でも、彼女は今、どこにいるのだろう。アメリカの空の下で、どんな思いを抱えているのだろう。ふと、誕生日を一緒に祝ったあの日の笑顔が脳裏をよぎった。いつかまた、彼女とケーキを囲める日が来るだろうか。

そして木蓮にはもう一人、この喜びを分かち合いたい人がいる。婚約者の和田将暉(わだ まさき)、三十歳。彼は医療事務機器を主に扱う和田コーポレーションの若き経営者だ。精悍な顔立ちに、穏やかな笑みを湛えた彼は、どんなときも落ち着きを失わない。

二年前、桜が満開の頃、ラグジュアリーなホテルの一室で、彼は木蓮の左の薬指にプラチナの指輪をそっと嵌めた。「一生大切にする」と囁く声は、春風のように柔らかだった。指輪には、澄んだ湖のようなアクアマリンの貴石が光を弾き、まるで彼の誠実な心を映しているようだった。

「はい、よろしくお願いします」

木蓮はその場で頷き、そっと目を閉じて彼の柔らかい唇に自分の唇を重ねた。あの瞬間、心臓の鼓動が彼と共鳴した気がした。

木蓮の実家は製薬会社を営んでいる。名家の娘と若手実業家の婚約………周囲の目は冷ややかだった。「企業間の契約結婚だ」と囁く声が、陰で聞こえたこともある。けれど、将暉はそんな噂を意に介さず、いつも優しく、彼女を丁寧に扱った。一度もケンカをしたことのない、穏やかな関係。夜、二人で過ごす時間は、言葉を超えて深く愛し合った。彼の手が木蓮の髪を撫でるたび、胸の奥が温かくなる。

(将暉さん、驚くかしら!ビックリさせちゃおう!)

診察室での衝撃が、まだ胸の中で波打っている。「双子の赤ちゃん………二人の愛の結晶が、私の中に宿っているなんて」スマートフォンの画面を指で撫で、妊娠証明書を写真に収めた。ショルダーバッグにそっと仕舞いながら、明日の誕生日を想像した。二十五歳の誕生日、特別なサプライズとして彼にこのニュースを伝えようと木蓮は微笑んだ。

きっとあの穏やかな瞳が、驚きと喜びで輝くはずだ。食卓に並ぶ彼の好きな赤ワインと、木蓮の手作りのケーキ。その中で、「パパになるよ」と囁いたら、どんな顔をするだろう。

「島田さん、お待たせしました」

待たせていた黒塗りのベントレーの隣に立つと、白い手袋を履いた運転手の島田が慌てて後部座席のドアを恭しく開けた。

「島田さん、ありがとう」

「奥様、お加減はいかがですか?」

ルームミラー越しに、島田の不安げな顔が映る。彼の心配そうな声に、つい笑みがこぼれた。

「奥様はやめて、まだ結婚していないわ」

「そうでした、失礼しました」

木蓮は小さく微笑み、そっと下腹に手を当てた。まだ目立たないそこには、確かに新しい命が息づいている。

「それに、病気じゃなかったわ」

「それは、ようございました!」

島田の声が弾み、車内が一瞬明るくなった。木蓮は窓の外に流れる街並みを眺めた。ビルの隙間から見える夕陽が、アクアマリンのようにきらめく。明日の誕生日、将暉とどんな未来を語ろうか。双子の赤ちゃんが、木蓮たちをどんな冒険に連れていくのだろう。胸の奥で、期待と愛が静かに膨らんだ。ふと、遠いアメリカの空の下、睡蓮のことを思った。彼女にも、いつかこの喜びを伝えたい。姉妹で、母として、また新しい絆を紡げる日が来ることを願って。

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