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136話

Auteur: 籘裏美馬
last update Dernière mise à jour: 2025-12-18 08:32:11

暫く苓さんと一緒に車の中でお話をしたり、時折触れ合ったり。

そうしている間に、時間はあっという間に過ぎてしまって。

苓さんがゆっくりと私の頬を人差し指の表側でなぞる。

「離れ難いですが……そろそろ茉莉花さんを家まで送らないと、ですね」

「……ん、そう、ですね」

こそばゆくて小さく声を漏らすと、苓さんの目がとろり、と溶ける。

もう一度苓さんの顔が近付いてきて、私はそっと瞼を伏せた。

角度を変えて何度も唇が重なり合う。

こんな風に気持ちが通じ合って。

こうして触れ合える事の幸せを確かに実感する。

きゅっ、と苓さんの手を握れば、すぐに握り返してくれる。

愛おしそうに苓さんの目が私を見つめる。

苓さんの行動、動作が全部「大好き」って私に伝えてくれているようで。

ああ、幸せってこう言う事なんだ、とふわふわした頭で考える。

「茉莉花さん、茉莉花さん。その顔、とっても可愛いんですが……ご自宅に入った時はいつもの格好いい茉莉花さんに戻ってくださいね?」

くす、と苦笑混じりに苓さんに言われて、私は首を傾げる。

何が何だか分からない状態の私に、苓さんは「しょうがないなぁ」と言うような顔で、そっと私の耳元に口を寄せた。

「そんな風に、今まで愛されてましたって顔をしてたら、茉莉花さんのお父様やお祖父様にバレてしまいますよ」

「──っ、れ、苓さん!」

「ははっ、俺に愛されてるのは本当だから、間違ってはいないでしょう?」

「こ、言葉選びがえっちです!もうちょっと、その、言い方、とか……っ」

「うわ。今のもう1回言ってください。きゅんときました」

大真面目にきりっとした顔でそう言う苓さんに、私は「馬鹿!」と一言告げて、ぷいっと窓の方に顔を向けた。<
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